ふりー!

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7.
ハル宅にて。各々本を読んだりして珍しく静かに過ごしていたのだが、そんな空間に突然くしゃみの音が鳴り響いた。くしゃみをしたのはどうやらハルのようだ。鼻がズルズルいってるし、風邪をひいたのだろうか?ハル自身は「これは誰かが噂しているんだ。」と言っているけど、まさかそんなネタを知っているとは思わなかった。はい、とティッシュを渡すとハルはズズーッと鼻をかんだ。

『もう、まだ4月なのにプールで泳ぐからだよ?』
「プールで風邪ひくほどやわじゃ……っくしゅ!」

言ってるそばから…。しばらくはプールに入って泳ぐのはやめて、筋トレとかに時間を費やすほうがいいだろうな。

「あ!江ちゃんから聞いたんだけど、凛ちゃん鮫柄水泳部に入ったんだって!」

渚のその言葉に胸が躍った。これで凛と大会で会うことができるかもしれない。真琴と顔を見合わせて笑うと渚が不思議そうに首を傾げた。

「またみんなでリレー泳ごう!」
「俺はフリーしか泳がない」
「ええっ?それってリレーには出ないってことー!?そんなこと言わずにさぁ…」

渚がぐりぐりハルに頭を押し付けて頼み込む。その様子がだだっ子のようでちょっと微笑ましい。しかしハルの「リレーやるにも三人じゃ足りないだろ」の一言ではっとした表情になり、

「あと一人部員を見つけなきゃいけないってことー!?」
『早速勧誘していかなきゃね』
「芽生が自分から誰かに声をかけるところは想像できない」
『ななっ!?た、確かに人に声かけるのは苦手だけどいつまでも人見知りってわけじゃないからね!水泳部のためにがんばらないと…』
「芽生、微妙に声が震えてるけど本当に大丈夫かな?」
「…さぁな」




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