ふりー!

□8
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8.
ちょうど窓を超えた先に見覚えのある赤い髪。私はあわてて俯き場所を移動する。少し離れもう一度見てみるがやはり凛だ。他にもう一人いるが、部活の仲間だろうか。ここでようやく私はおばあちゃんの家がある駅と凛が通っている鮫柄学園の駅が同じであることに気が付いた。



*
『……』

左手にクーラーボックス(大)、右手にパンパンに詰まったスーパーの袋。こんな状態のところは見られたくない、それにどう絡んだらいいのかわからない、ということで気づかれないようにひそひそとスーパーを後にすることを決めた。凛がいるところから出来るだけ離れた出口から出て目立たないように歩くが明らかに荷物のせいで目立っている気がする。しかしここであたふたすると余計に問題なので必死にスタスタと歩く。

『よし、このままこのまま……』

しかし、ふっと右手の重みが消える。と、同時にがしゃーん!という騒音とともにスーパーの袋の中身が地面へと降り注ぐ音が辺り一面に響き渡る。平日で人が少ないこともあり、この音が目立つことは言わずもがなである。

『ひぃっ!?なっなんで!』
「あの、大丈夫ですか?」
『えぇっ!?あの、あの…大丈夫じゃないです…』


「おい似鳥、どうした」


この声は……。

「松岡先輩、スーパーの袋が破けちゃったみたいで…」
「ふぅん…」

まちがいなく、りんだ……!



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