風華月炎

□夢想。
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夢に想うはキミの姿。
 もし出逢えるのならば、その時は――……。




夢想。【津応 彰+神藤和泉】


「――初恋はいつですか?」

突然、楽屋内に響いた相方の声。
怖い程の笑顔を浮かべながらオレを見てるコイツは、時々何考えてんのか理解できねえ。
……まあ、それでも、きっとアイツよりはマシだな。アイツはいつも何考えてんのか理解できねえし…。
「何だよ、急に」
「んー…。ほら、今日の取材で聞かれたでしょ?だから、彰は何て答えたのかなーって」
「…いや、別に雑誌が出たらわかるんだし、今答えなくてもよくね?」
 
……てかさ、今気づいたんだけど…もしかしてオレってかなり恥ずかしい答え方しちゃったんじゃね?
ヤバイ……。今さら「もう一回取材やり直してくれませんか?」なんて言えないし……。

「いいじゃん、気になるんだか…彰、聞いてる?」
「へっ?ああ聞いてる、聞いてる」

やっべー…。ちょっとどっかいってた。
……どーせ雑誌に載っちゃうんだし、言っちゃってもいいよな。うん。
津応 彰、意を決して話ちゃいます!!

「オレの初恋は……――」
「初恋は?」
どんな反応がきたっていい。
これがオレの初恋なんだから――。
「いつ、ってのは正直覚えてないんだよなー」
「…何よー、ちょっと面白いこと聞けるかなって期待してたのに」

「でも……」
「でも?」
『期待はずれー…』とでも言わんばかりの表情を浮かべる和泉に、オレは言葉を繋げた。
ここからなんだよな。オレの初恋話は。
「オレの初恋の相手は、すげーキレイな人だった」
「……何か、話が繋がってない気がするんだけど」
何か和泉がブツブツ言ってる気がしたけど、悪いね、オレは話を続けさせてもらうよ。
「ただ、会えるのは夢の中だけ。しかも、オレはオレであってオレじゃなかった」
「………」
やっぱそういう反応だよな。「夢の中に出てきた人に恋しましたー」とか、普通じゃ考えられないし。


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