風華月炎
□誓う、彼らのために…。
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僕は誓いたい、
今度こそアナタたちを幸せにしてみせると――。
誓う、彼らのために…。【瀬碕 愁・砂夏+伊勢 晃】
『熊野(ゆや)様。さあ、ご決断を』
……煩い。
『熊野様。迷う必要はございません』
……煩い…。
『熊野様。貴方様が望むものは、この地のことのみ…』
……煩いっ。
『あのような者のことを想う必要はないのです』
「煩いっ!……っ、またあの夢か。何なんだよ、一体」
最近、夢見が悪い。
これも全部あの夢のせいだ。
夢の中のやつらも、俺のことを『熊野』と呼ぶ。あいつらも呼ぶ、俺がこの世で一番嫌気がさす名前を。
俺の名前は『茜』なのに…。
「俺は一体、誰なんだよっ……」
呟いてみるけれど、もちろん返事が返って来るわけも無く、静寂な時間だけが過ぎる。
「……学校、行きたくねえな…」
そう思いつつも、あいつらが起こしに来る前に家を出ないといけない俺は、急いで布団から起き上がると制服に着替えた。そして、朝ごはんも食べずに足早に家を飛び出すと、武蔵の家に向かった。
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