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□太陽と死にたい
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『ねぇ、太陽がなくなったらどうする?』
「…んなわけねぇだろ」
窓から見える外の世界は雨のせいで暗く冷たかった。早く晴れてくれればいいのに。
『もしもの話!』
「あー?」
面倒くさそうに、ベッドから体を起こした神田は、窓から外を見ていたわたしをいとも簡単に引き寄せた。
「……いいんじゃねぇの。なくなっても」
『え?』
「ずっと夜になるってことだろ?」
『まあ、そうだけど』
真っ暗な毎日なんてどこがいいのよ、と眉をひそめれば、
「そしたらずっとお前のこと抱いてられるだろ?」
朝が来ないなんて最高じゃねぇか、と口の端を上げて笑う神田。
(朝からだって抱いたりするくせに…っ)
神田の噛み殺したような笑い声が静かな部屋に響いた。
それがなんだか悔しくって、
きっと真っ赤になってるだろう顔を下に向けて、
『そんなのやだ』
と拗ねたように呟いて神田の腕の中で小さく丸まった。
『…バ神田』
でも
ちょっとだけ…太陽なんてなくなってもいいなぁ、なんて、わたしも思ってしまった。
太陽と死にたい
(あなたの腕の中にずっといられるのなら)
*END*