if〜パラレル〜小説

□疲れたミイラはミイラ取りになる
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秋は好きだ

夏の暑さがなくなり読書をするにはうってつけで、それに秋ならではの美味しい作物が食べれるし、なにより朱や黄色の木々の変わりゆく変化が綺麗だ


だから秋は好きだ
けれど、それと同じくらい秋は嫌いだ

わたくしの愛しい人を隠すから…
その緑から茶色に変わりゆく色で、愛しい人の色を覆い隠してしまうから……





『疲れたミイラ取りはミイラになる』





「キラー!キーラーー!」


サクサクサクサク…

朱や黄色、まだ緑の葉を踏みしめ踏み分け、桜色の髪を持つ彼女──ラクスはキラを探していた。

先の大戦が終わって約1年…
だんだんキラも笑顔を見せてくれるようになってきた今日この頃だが、まだ時折陰りを見せる時がある。
ラクスはそんなキラが心配で、付かず離れずの状態でキラの側にいるのだが、今日は運が悪かった。


サクサクサクサク……

ラクスは先程までの事を思い出しながら、茶色く染まっていく木々を見渡し、キラがいないことを確認すると次の場所に向かって行った。









朝、いつも通りに洗濯機を回していれば、何故か洗濯機が故障し…(その後、女の子達と手洗い洗濯)

朝食後の食器を洗っていれば、男の子達の悪ふざけでお皿を数枚割ってしまい…(怪我はなかったけど、男の子達に今日のデザート無しの刑を言い渡す)

皆で砂浜で遊んでいれば、不意打ちの高波によりずぶ濡れになり…(午前から皆お風呂に入った)

お昼食べた後は、午前の高波によって再び洗濯するはめになった洗濯物を洗濯し…(そのお陰でキラの散歩に付いて行けなかった)


そして洗濯が終わってキラの後を追おうとしたラクスだったが、重要な事を思い出した。


それはキラの行動と最近の服装の事。


キラは昼寝が好きで、いつでもどこでも昼寝をしようとする。
そして最近のお気に入り場所は森で、しかも気分で場所が変わるため、特定の場所がわからない。

それに加えて今日のキラの服の色は茶色。
キラが黒以外の落ち着く色を探したところ茶色になったのだが、今の季節は秋。
キラの着る茶色のコートと茶色に染まりゆく秋…結果は自ずと知れている。


ラクスは慌ててキラがいつも行く森に足を踏み入れてみれば……


「・・・・最悪ですわ・・」


そこは辺り一面の茶色く染まっていく木々だったわけで……

そこから冒頭のラクスのセリフからこの物語は始まるのだった。



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