妄想〜パロディ〜小説

□Be shy Singer
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それは仕事から逃げ出して、ある街に行った時だった


風に乗って歌が聞こえてきた


その歌はとても優しくていい歌だったのに、どこか不安定な歌だった




『Be shy Singer』




「確かこっちから聞こえたような…」


そう言ってサングラスをかけた茶髪の1人の青年が街中を歩いていた。

そしてまた風に乗って聞こえてきた歌を頼りに、再び歩き出す。


「…ここだ」


そこは若者が休日集まって道端で自身の歌を聞いてもらう――ストリートライブ

そして聞こえてきた歌は、今まさに歌っている1つのグループのものだった。

歌を聞いた率直な感想は、やっぱり不安定。


キーボードの音がドラムやギター、ベースにボーカルに負けている…

個々の音が強すぎだな…


青年がそう思いながらそのグループを見ていると、中に知った顔があった。

それに驚きながら聞いていると―――


「このグループ歌だけしか取り柄がないな」

「全体のバランス悪すぎ」

「早く終わんねぇかな」


青年の耳に酷い言葉が聞こえた。


彼等だって真面目にやっているのに…


怒った青年はお節介になるかもしれないと思いつつも、先程酷い言葉を言った彼等を見返してやりたいと、歌っているグループの中に途中から入った。

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