妄想〜パロディ〜小説

□彼は○○科の○○検査
1ページ/16ページ



「キラ、まだソレ持ってたのか」


そう言うのは、滅多に着けないアクセサリーをキラが着けてたから。


「何?悪い?」

「いや…そこまで気に入っていたとは思わなくて…」

今の季節はハァと息を吐けば白くなる冬。
寒い…と思いながら思い出すのは、2年前の桜が散って梅雨がくる前の頃…


中学2年の5月のある特別な──

だけど彼にとっては…

面倒臭い事この上ない日のこと──…




『彼は○○科の○○検査』




「あ、あの!ヤマト君!コレどうぞ!」

「ヤマト君、コレあげる!」

「ヤマト君、あの…」

   ・
   ・
   ・

「気持ちは嬉しいけど、受け取れない」


「「「「で、でも!」」」」


「1つ受け取れば、他のも受け取らなきゃいけない
帰り重くなるのイヤだから持って帰って」


「「「じゃ、じゃあお菓子は!?」」」


「何?僕を太らせたいワケ?
その量食べたら糖尿病になって死ぬよ」


彼-キラ・ヤマトの辛辣で冷たい言葉に、彼にプレゼントを持ってきた女子達は何も言えなくなり押し黙る。
中には泣き出しそうな子までいるが、彼はそんなこと知ったこっちゃないと言わんばかりに無視する。


「ちょっと!せっかく作ってきたのに、それはないんじゃないの!?」


泣きそうになった女の子の友達が、怒りを露にしてキラに怒鳴る。
けれどキラはその子を一瞥して淡々と言う。

.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ