BOOK・・
□空が見つめていた。
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ぬしの事で、溢れ出してくる思いはどう止めるべきなのじゃ??
もう・・わっちでは考えがつかぬ。
この『会いたい』という気持ちを。
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ふぅ。と煙管を口から離し、空を見上げた。
空には、キラキラと星が輝く。
回りはガヤガヤとしているのに、空だけが静かで、月詠の心に静けさが、浸透していく。
この空を見れたのは、あやつのおかげだ。
そう・・焼け野原の様な銀色の天パ。
魚が死んだような目で、ダラダラとしている奴じゃが、守るものは誰でも守り通すそんな奴・・。
そんな奴にわっちは・・。
『馬鹿馬鹿しいでありんすな。』
自分にしか聞こえない声で、自分自身に問いかけた。
わっちは・・吉原の番人としてやっていくのに
女を捨てたと言っているはずなのに
どうしても、ここから抜け出して
ぬしに会いたい。と思うわっちは馬鹿じゃ。
だけど、わっちの心は銀時の事だけでいっぱいいっぱいになっていく。
一秒でもいい。顔を見るだけの一瞬でいい。
会えないこの虚しさを埋めてはくれぬか??
『・・銀時。』
と今にも崩れていきそうな顔を着物の袖で、覆い隠した。
それ
を、空だけが見つめていた。