BOOK・・

□祝ってほしい人ほど、祝ってもらえない事もある。
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『『『銀ちゃーん、銀さん、銀時様、銀時、旦那ぁ、万事屋・・お誕生日おめでとう。』』』


今日はスナックお登勢にて、万事屋一家、お妙、新撰組、柳生一家、長谷川さん、さっちゃん、晴太などが、銀時の誕生日を祝っているのだ。



今日は10月10日。
俺が生まれた日ではないが、俺の誕生日だ。

松陽先生が、俺をあの場所で拾って日でもある。

小せえ頃は、高杉や、桂・・松陽先生に祝ってもらってたな。

けど、松陽先生が俺たちの所から去っていってからは祝う代わりに、血の雨が俺たちを襲い、それぞれの歩む道も分かれてしまった。

それぞれ違う道だったが、俺は今こうして新八、神楽、お妙、たま、キャサリン、ババアが側にいてくれて支えてくれている。
あと他にも、新撰組や柳生一家、忍者、吉原やらいろんな繋がりが出来た。

で、今こうして誕生日を祝って貰ってるわけだ。

だけどな
やっぱり俺は、欲深いヤツかもしれない。こんなたくさんのヤツらに祝って貰ってんのに、あの・・めったに笑わなく、ヤニくせぇし、空気読めるし、おぼこだしっ・・。
まあ、別に祝って貰いてぇと思わないよ。けど空気読めるんだったら、一言ぐらいないか。

あーあー。と
カウンター席で酒をちびちび飲んでいていると
『銀さん、今日月詠姐来るはずだったのに急遽仕事で来れなくなっちゃったらしいんだ。ごめんよ。銀さん。』
残念そうに言う晴太に『お前が来るだけで充分だよ。今日は、思う存分楽しもうぜ。』と笑顔で笑ってみせると晴太はそれを見てぱぁと明るくなり神楽や新八のいる方へと向かっていった。


みんなドンチャン騒ぎで、楽しんでいるのも関わらず、銀時はうわの空だ。

ーーーやっぱり俺から会いに行かないといけねぇか??
でも、俺今日主役よ。うーん。一言いいてぇ事もあるし行くとしますか。と重い腰をあげ、ちょいと酔い覚ましにと一声かけ吉原にむかった。

吉原に着くと、花魁達から『救世主様、おめでとうございます。だからわっち達と遊びませんか??』と言われるが、今はそんなのどうだっていい。『俺は、積極的な女は嫌いなんだ。まあ、いつか顔出すからさ。』とあしらいながら、なんとかひのやまで着く。

ひのやに来ると
『おや、銀さん今日の主役がここで何しに来たのかい??女を買いにでもきたのかい??』と吉原の女王である日輪が出てきた。

『おい、アイツはどうしてる??』

『アイツって誰だい??アイツってい
う名前はいないんだけどねぇ・・。』とふふっと笑っている。
ーーーこいつ、わかってて俺を遊んでいやがるんだ。吉原の女王は怖えぇな。と思いつつも、『あれだよ!!月詠さんですよっ!!』恥ずかしくなる顔を抑えて言う。

『あーあ。月詠ならわかるわ。ここにはいないわよ。百華の所じゃない??』とまたもふふっと笑う。

『はいよ。じゃ、ちょいと行ってくるわ。』と手をヒラヒラ挙げ、その場を立ち去ろうとした時『銀さん、誕生日おめでとう。』と笑顔で声をかけてくれた。

後少しで、月詠の顔が見えると少しワクワクさせながら行ったのはいいが、百華の所には月詠はいなかったのだ。しかも、『頭は、今日非番で地上に行くと申していましたよ。』ときたら、これだ。

ーーーあーもうわけわかんねぇ。
晴太が、仕事といい。日輪には、百華の所にいると言われ、百華の者には、地上にと言われ俺はどうしたらいいんだ。

みんなには、言われたのに1番に言われてぇやつに、会えなくてどこにいるかさえもわからない。惨めすぎるな。

ってか、俺なんでこんなに振り回されてぇんだ。バカバカしい・・。

そう思っていた足取りは重く、スナックに行っても笑って返せないほどへこんでい
たのだった。
でも、みんな俺を待っててくれているじゃねーか。帰らないとな。とその足を進めた。
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