BOOK・・

□お祝いの一言って人によっては、言いずらい。
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なんであんな一言が言えねぇんだよ。俺・・。

たった一言でいいのに。

あいつを前にしたら口がとんがってその言葉を漏らす事も出来やしねぇ。

なあ。
早く言わねぇと
時間の針は過ぎていくんだよ。



わかってんの?・・俺。


『月詠・・。』

なんてぼそっ。と零した。


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ふと、自分の名前を呼ぶ声がしたが、それと重なり神楽から『ツッキー!!今日誕生日だって聞いたネ。今日はめでたいアル。だからこれ食べるヨロシ。これは、滅多に食べられない代物ネ。』と酢コンブを1枚取りにこやかに笑う彼女に、月詠も同じ笑いかけ『ありがとう。』と受けとった。


自分の誕生日と気づいたのは、
夜勤から帰ってきてからの晴太の一言だった。

『月詠ねぇ。誕生日おめでとう。俺、月詠ねぇに出会えてよかった。いつも優しくしてくれて・・勉強教えてくれる時はクナイ投げられるけど・・。けど、月詠ねぇの事大好きなんだ。月詠ねぇ。おめでとう。』
と晴太からド派手なショッキングピンクでラッピングされた箱を受けとった。

あまりに突然ひのやから出てきて、おはようと挨拶を告げる前にそんな事言われるなんて・・しかも愛の告
白つきで笑。

大好きな子供に言われると、嬉しくてたまらない月詠はぎゅっと抱きしめて『晴太・・わっちもぬしの事大好きじゃ。ありがとう。』と告げた。

まるで親子が抱きしめるように・・。
晴太も照れながらも『へへっ。』と嬉しそうに笑っていた。


そんなのを見ている1人の男に気づかずに・・。
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