BOOK・・
□誕生日前には、彼女を怒らすな。
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只今
10月10日。PM8:00
俺がここにきたのは、理由がある。
せっかくの俺の誕生日だからって、あいつから来るだろうと思っていたのに、玄関の開く音すら聞こえない。
急用な仕事が出来たのかと、地下に行ってみれば探している姿はどこにもなく、知っている者に聞けば『知らない。』と一点張り。
あいつの一番理解者である奴に聞けば『最近、銀さん。あの子ほったらかしにするからよ。何処かへ遊んでいるんじゃない。』と釘を刺された。
地下にはいないというならば、あいつが知ってる所・・。
そう思いここに来る途中、桂に出くわしたが今はとにかく走った。
ハアハアと息が続かない中、この場所に立ち止まると、銀時の頭の中では、
何故ここにいるんだ??
おめぇのいる場所は、地下だろ??
親しい男でも出来たのか??
グルグルと黒い塊りが、心の中で増幅していった。
とりあえずここに入らないと、この苦しみからは解放されねぇ。
カランッ。
『いらっしゃいませ。天使の休憩所『高天原』へ。』
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『えっー。銀さん。どうしたんですか??こんな所へ・・。』
ひきった顔で恐る恐る狂死郎が、
銀時の顔を見上げた。
それもそうだ。
狂死郎にとって恐ろしい姿へと、銀時はなっているのだ。
そんなの気にしない銀時は『あっー。狂死郎。今日は俺は客人で来てんだよ。新しいホストでもとりあえず連れてこい。』とギロッとした目つきで、狂死郎を追い払い周りを見渡す。
ホストと客が乳くりあっているわけでもなく、談話を楽しんでいる様子だ。
1番肝心な、あいつの姿は見えない。
だだ周りにいるホストが、そわそわとこちらを見ているだけだ。
それもそうだ。だいたいホストクラブに男性1人など現れない。俺も仕事として、ホストでもやっていたんだ。そんなの常識。
だから、ちゃんと常識を通してここへきたんだ。
そんな事を頭の隅に考えながら、気配を消したくて、下を向いた。
そこへコツコツと、先っぽが尖らせた靴が、銀時の足元に現れる。
『初めまして。今日は楽しい・・』
ようやく来たか・・。ってあれっ??この声どっかで・・
下を向いていて、あちらは気づかないのか
慣れていないせいなのか、覚えたての言葉を述べていく。
俺は何故だか、頭が回らない。
『隣座ってもよろしいですか??』
ハッと我に返り『ああ。どうぞ。』と高め
の声で答えた。
隣に座ってくる男に、妙にドキドキしていく。
あー!!胸クソわりぃ!!
『僕は・・』
隣の男が名前を言う前に、確信をつけるべくそいつの顔を見た。
目と目が合い、きょとんとこちらを見る顔。
『月雄と申します。どうぞ・・よろしくお願いします。』
『・・よろしくお願いします。』と男に向って頭を下げた。
10月10日PM8:30。
そこにはスーツを着こなし、髪を下ろし前髪をかきあげた彼女の姿があった。
それを同定したあられもない格好の
女装した自分がいた。