BOOK・・

□誕生日前には、彼女を怒らすな。
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ぉおおいっ!!なんで此奴がいるんだよ!!
客として来ていたんじゃねーのかよ。
疑問があちらこちらに、頭の中に溢れてくる。

それなのに俺を疑問の渦へと誘う諜報人は、呑気に『貴女に会えて嬉しいです。・・名前はなんていうんですか??』と質問してくる。

『パー子。』とお下げ髪をつけて、女装している銀時は声を潜める。

『んっ??聞こえなかったんですが・・。』と月雄という彼女は、笑顔で答えた。

あーもう!!此奴聞こえねぇのかよ!!ホストって言えば客相手の商売だろ!!聞き取れねぇと・・ってか、ドSだろ!!こいつ可愛らしい笑顔して、とんでもねぇ奴だな。と銀時は心の中で叫びながらも『パー子って言います。』と渋々答えた。

『ああ。パー子さんですか。可愛らしい名前ですね。』全く銀時に気づかないこの女は、グラスに氷を注ぎ最初から置かれている酒を注いでいく。


『それと・・パー子さん。君って体ががっしりしてグラマラスなお人ですね。』と話しかける。


おいおいおい・・。
まだ、気づかないのか。
吉原炎上篇だっけ??そこでこの姿見たんじゃねーの。ピーチ太夫って言えば理解してくれますか??いや・・理解してほしいよ。・・お前空気
読める子だろ・・。と肩を落としながら『そうなのよー。よく言われるわ。』と気付いてもらえるのを、諦めた。

あれから、何話したかわからねぇ。
何から告げようか、何から聞けばいいかわからない。

ただそこにある酒をたらふく呑んだ。呑みまくった。

もうグテングテンと体が、整っている。

それを見て月雄は『いい呑みっぷりですね。』と酒をグラスに注がれるだけ。

そんな状態でも淡々と話すこの彼女を見て、やっぱりこいつ男の格好してでも美人だな。そのままいけばナンバー1取れるんじゃね。と横顔に見惚れる。

『パー子さん。大丈夫ですか??』と月雄はパー子を心配そうに見つめる。

あーもうなんかどうでもいい。
とりあえず・・そう思いながら月雄の手を自分の所に引き耳元で呟く。

『貴方の事気にいっちゃった。今日わたしぃ誕生日なのよ。これからどう??』いたずらっぽくウインクで誘う。

『えっ??今からですか・・??』少し戸惑いの声がしたので、無理だと諦めたがその顔を見ると、目を丸くして顔真っ赤に染め上がらせている月雄の姿であった。

それを見て、銀時は安心した。
やはり男装していても、女の姿である彼女の照れた顔だった。
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