BOOK・・
□誕生日前には、彼女を怒らすな。
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そんな顔さえみれば、こんな所でなぜ働いているのか。なんてもうどうでもいい。
とにかくこいつといたい・・。
我ながら、酔い過ぎている。こんな事本来の自分ならするはずないのに・・。
これは、ムードのせいだ。
会えなかったから。
彼女がいつもと違うから。
この日が特別な日だから。
とムードにただ流されているのだ。と自分自身に向かって言い訳を作る。
『そう・・。これから。貴方と過ごしたいのよ。』
少し考えていたのか、沈黙の後月雄は『・・少し早くなりましたが、店長にお願いして特別にある部屋をお借りしたんですよ。そこで、誕生日お祝いしましょう。』とパー子に手を差し伸べる。
その手を受け取り、月雄が通る煌びやかな道を一緒に通りすぎる。
周りの者は、月雄を見てうっとりするのだが、俺を見てウッと横を向く。
まるで逆転美女と野獣を見ているように。
そんな事を気にしない月雄は、部屋の前に案内し『銀時・・誕生日おめでとう。』と銀時には聞こえない声でドアを同時に開いた。
『銀ちゃーん、銀さん、万事屋、誕生日おめでとう!!!!!』
銀時は、月詠の声に反応し『えっ??何っ??』と見れば、ドアの向こうから爆笑す
る声に、だんだんと恥ずかしさが込み上げいく。
『銀ちゃん、なんで女装してアルカ??今日は、かまっこ倶楽部の出勤日違うアルヨ。』キョトンと銀時を見上げている者や。
『おい、チャイナ。そんな事言うなよ。ほら、旦那が困っているみたいだゼィ。』とポンポンと神楽の肩を叩きながら笑い出す者や。
『そんなに笑わないのよ。きっと銀さん血迷っていたのよ。今日が自分の誕生日だからって・・。』とクスクスと笑いを我慢している様でしてない者。
『お妙さん!!僕お妙さんのためなら、女装なんてほらすぐに出来ますから!!』と同じく女装して、お妙に好きアピールをする者。
『銀さーん!!何っ??その格好もっもしかしてガールズラブみたいな??そんなプレ・・』と言いかける前に洞爺湖が頭に刺さった者・・。
部屋には、普段のメンバーが揃っていた。
『おいっ!!月詠。これはどういう意味だ!!』
『なんじゃ??ぬし覚えてないのか??』と月雄ならね月詠が煙管をふかし、こちらを睨んだ。
『・・え??』
『えっ??ではなかろう。散々言った挙句、初めて聞いた様な口をして・・。』チラリとクナイが見え隠れする。
銀時の額から、冷や汗が滲み出
た。
『で、月詠さん。そういうわけだったんですね。』
『そうじゃ。言った本人が忘れるなんてやはりぬしの頭は、焼け野原じゃな。』
ため息をつく月詠をよそに、クナイがおでこに刺さったままの銀時は、数日前の事を思い出した。