BOOK・・A

□蛾は蝶として舞う。
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蛾は蝶ごとく
きらびやかに舞う事は出来ぬ。
だが、蛾はいつか願うのだ。
蝶になり、あの空を舞いたいと。







男は、女の体を酒に飲まれていく。
女は、男に金をむしばんでいく。
そう、ここは吉原。
泥まみれた欲があふれる場所だ。

ここでは、昔は遊廓としていたが今はソープランドやイメクラ、ホステスやいかがわしい店がのきをつらぬく欲の場だ。

大通りから外れた場所に『胡蝶蘭』という店がある。
店内は上品であり、庶民が入れないといった所だろう。店内の真ん中に、ポールが置かれている。

そう、ここはジェントルマンクラブ(ストリップクラブ)という所だ。

ここで、月詠はポールダンサーとして働いている。

まだ若く仕事がないため、途方にくれていた所をここの元オーナーであるお登勢に拾ってもらい、働きながら日輪と晴太のため働いている。

最初は、男に裸を見せて踊るんじゃないのかと不安になっていたが、ここではそういう事はしないで、いかに官能的に相手を惑わす踊りが出来るかとして、芸術的なポールダンスとしてやっているという事だ。


拾ってもらってから3ヶ月がたつ。
だんだんと、店にも出れる様になり、ちゃんとした形となっている所だ。

『よっ。月詠。さまになってきたんじゃねーの。』ポールで踊りの練習をしていると後ろから声をかけられた。

こいつは、銀時。
ここでのバーテンダーをしているが、主にやっかいな客の相手や、ポールダンサー達を守るためにボディガードをしている。

『ぬしみたいに、怠けていないからの。練習あるのみじゃ。』


『なに⁉銀さん馬鹿にしてるの??俺だってやる時はやりますー。』
とドヤ顔で訴える。

死んだ目をしていて、やる気がなさそうだが、やる時はやる男だ。この店に何も不祥事が起こらないのもこいつのおかげだ。

『ぬしの焼きの原が1番不祥事でありんすな。』とふっと笑う。

『あっ!!てめー俺の天パ馬鹿にしたな!!銀さんのこれは気持ちいいんだぜ。他の女共の癒しになっているでーすー。』

それからが長く続く口喧嘩となる。
そこに口を割ったのが、胡蝶蘭の店長である新八だった。

『もー。月詠さんも銀さんも。いい加減にして下さいよ。2人とも大人でょ。』


『『だまれ、黙りんす、
この眼鏡。』』


『眼鏡はないよねっ??ってかあんた達眼鏡馬鹿にしすぎだよね。』
『もういいや、とりあえず開店するから喧嘩は終わりにしよ。』新八はうなだれながら、銀時と開店前の準備にとりかかろうとする。
銀時は準備する前に
『最近、他の店で店内の子を暴力ふるう客がいるらしいから気をつけれよ。まぁ、俺がいるから大丈夫だけどっ。』と一声かけて立ち去った。




『なに、あたしの銀さんといちゃこらついてるの??あんたのものじゃないんだからね!!』
と強く押し倒される。

『すまぬ。以後気をつけるうえ。』

『なに、偽善者きどってんの??まあ、いいけど銀さんはあたしの物だしっ。』と去っていった。

こやつは、猿飛あやめ。
胡蝶蘭で、ポールダンサーとしてNo.1をもつ女。ドMだが、ポールの前に立つと、魅力的で男なんて鼻の下がたれさがるくらいデレデレとなるのだ。あと、銀時を好いているらしい。
なぜ、わっちに当たるのかがわからないのだが。

向こうから、新八が
『そろそろ開けますよー。皆さん準備して下さい。』という声がした。

月詠は急いで裏手に戻った。
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