BOOK・・A

□蛾は蝶として舞う。
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煌びやかな光と曲がポールで踊る女を輝かせている。
まるで蝶が舞ってるようだ。
だが、ポールを男のあれにたとえて、男を煽るように舌を出したり、尻や手で誘う様にくねらす姿は、卑猥な事をしている様に見えてくる。

胸や、いかがわしい所は見えてないが、ギリギリで見えるか見えないくらいであるから男は女が動く方に目が行く。
中には、目を手で隠しながら見てるものや、堂々と鼻の下を伸ばして見てるものもいる。

男は皆下衆だ。と月詠は思う。
ダンサーとしてやっているのだが、ここにいる男共は下心丸出しで、欲のためなら金を出す。まるでハイエナのようだ。

『次は、月詠の番よ。』と声をかけられ急いでポールにいく。
月詠にとっては、舞台としか思ってない。恋や愛、欲情など感じた事がないからだ。
ポールに立つということは、舞台に立つ、いわゆる蝶として舞うという事が
出来るので月詠はポールダンサーとして充実していた。

男を誘うしぐさなどは出来ないが、ポールを単につかむだけの場合もあれば昇り降り、スピン、倒立などのより体操的な動きを行っていく。
それはそれで美しい。店にいる男共は高級料理を食べるように絶賛する目で食いついていた。

すると、『ちっ。楽しくないんだよ。もっと楽します事は出来ねぇのか。』とナイフを持って舞台に上がっていき、月詠の顔を傷つけた。

月詠は踊りに集中していたため、舞台に上がる男に気づく事ができず、また傷つけられたためその場で座りこむ。
顔からは、ポタポタッと紅い血が流れていく。


急いでその男を他の従業員や新八がおさえる。
『月詠っ!!大丈夫かっ。あの野郎は他の者が抑えた。今すぐ手当てしねーと。』
銀時は月詠の元にいき、月詠を抱き上げザワザワと騒ぐ客を抜け反り、舞台から離れたマジックミラーがついているVIPルームにいく。


VIPルームで応急処置をした銀時は

『月詠・・。すまねぇ。俺がいたのに。いない時にやられちまって。本当すまねぇ。』
拳を握りしめ、窓に向かって叩く。叩かれた窓は防犯なため割れてないが、ヒビがはいり銀時の手から血が滲みでる。


『銀時のせいではないのじゃ。わっちは大丈夫。他の人は大丈夫なのか??』と銀時の血が滲みでる手を握りしめ心配そうに見る。

『あーあっ。大丈夫だ。お前は自分の事を心配しろよな。とりあえず、病院行かねぇとな。』
と握られた手を離し新八の方へと向かった。



病院に着いて、処置を施しているとバタバタと走る音が聞こえ、その方に目をやると日輪と晴太が泣きながら詰め寄ってきた。

『月詠、大丈夫なのかい??ごめんね。私がこんな体であんたに無理させちまって・・。』

『月詠姐、本当に大丈夫??新八さんから連絡きて急いできたんだ。顔に傷が出来たって。』

『大丈夫じゃ。目の方を切られてしまったんじゃが、目は大丈夫だし、その他は大丈夫だぞ。』

『だけど、あんたこのままあの仕事を続ければ・・。』と言いかけそうになる所を月詠は『わっちは、あの仕事が好きなのじゃ。わっちのワガママではあるが、そのまま続けたい。』と、にこやかに笑うが、手が少し震えていた。

『わかった。だけど月詠。私達がいるからとかで無理するんじゃないよ。私がやってる甘味所もあるし、私達は私達でどうにかやれるからね。』笑顔ではいうが、無理はするな。と強く言う。
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