BOOK・・A

□アメハマダ。
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朝目覚めると、まだ暗く陽は沈んでいる。

布団の中以外は、ひんやりと冷え込み布団の中へと再度誘われてしまうのだが、社会人はそうもいかない。

『午後の資料コピーするの忘れてたな・・。』
そんなのいつでもいいのに、今日は何故かあいつの顔を見たくていつもより早く布団から出た。

顔を洗うため洗面台に立つと左の頬がまだ赤い。
『あいつ・・どんなけ馬鹿力なんだよ。』と独り言を言いつつ昨夜の事を思い出す。

ーーーーーー裁判中でのあいつは、背筋が伸びていて自信が溢れていた。・・他の男共が引くぐらいに。


俺は知っている。あいつが必死で自分ではなく、誰かを守ろうとしてたぐらい。



そんな事を知っているのは・・
同期だから?
いやそうじゃない。




ダッタラナゼ・・?

あいつの、あんな顔を崩したくて、ずっと見ていたからだ。


あいつは何事にも、真剣で。相談者の身になっていつも考えていた。
相談者側が不備であっても何か解決策があると最後まで仕事に張り詰めていたあいつが、あの日俺の前で一瞬緩んだ瞬間だった。
自信家な月詠が一瞬・・『女』の顔になったんだから崩したくてたまらなくなるのが男の本能だろ。

俺って最低だろう?
だが、それでいい。
あいつの怯えた顔が見てぇからだ。
だから今まで俺は猫をかぶってきた。
だが、そんなの昨日で終わり。

さあ、今日はどんな顔をするんだ。
・・月詠。
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