BOOK・・A
□アメハマダ。
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ガタンゴトンと揺れる電車の中。
いつものわっちなら、背筋を正し、立っていられるのに今日はそうもいかない。
急いで座席を目指し、目的の場所までずっと下を向いていた。
ーーーーーーこんな顔でいきたくない。
昨夜の銀時の行動には、驚く以上に怖く感じた。
今まで経験のひとつもないわっちに、襲い。あんな言葉を浴びせられたのじゃから・・。
どんどんと、目的の場所に近づいてくると手に冷や汗が湿ってくるのがわかる。
ーーーーーーいつものわっちに戻るんじゃ。
大丈夫。大丈夫ありんす。だから・・。
月詠は拳を握りしめて、腰をあげ電車のドアから出た。
ーーーーーーーーーーーー2階へと階段をのぼり、古びた事務所の前にたつ月詠。だが、ドアのノブへと手をかける月詠の心臓はドクンッと高まっていくのがわかる。
この先にいつもの朝なら誰もいないはずなのに・・誰かいる気がして・・。
だが、そんな私情な事を仕事場にもっていくにはいかぬ。とノブを回し開けると、そこはいつもと変わらぬ光景であった。
ホッとため息をつき、愛用のマグカップをだし暖かいお茶を入れる。
そして、自分の席につき手帳をバックから取り出し今日のスケジュールを確認する。
ーーーーーーいつも通りなら、もう少ししたらお登勢殿が来て、銀時はいつも出勤時ギリギリに来るのじゃから、2人になる事はない。なんとか今日乗り越えれば・・
そう安堵していたつかの間だった。
ガチャリと開くドアを見れば、ゆさゆさと揺れている銀色の髪。
『月詠さん、おはようございます。』と月詠を見て笑いかけた。