BOOK・・A
□想いは貫くべき。
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ふんわりと靡くカーテンはまるで銀色の髪をくすぐっている様に見えた。
窓も開いていてヒンヤリとしているのに
そこは何処かポカポカとしているようで
そこだけをただ見つめていた。
銀色の髪をした生徒を・・。
ーーー見つめていたかった。
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『わっちが、あの問題クラスと言われる3年Z組を??』
『すまんが、そうなるが仕方ない事での。一年間だけでいい。そうしたら、吉原高校に戻すのも考えてやろう。』
ーーーどうすればいいのでありんすか。わっちは。そして・・この学校は。
はぁと溜息がこぼれた。
月詠が越任したかぶき高校は、荒れ果てていると噂されている高校であり特に3年Z組は一番荒れ果てていると評判だ。
お嬢様学校である吉原高校からきた月詠は副担任に起用されるはずだったのだが、なんと担任は月詠がきたらすぐさま病欠となり当分来れないと逃げていった。
そして、副担任にではなく、担任に変わらずおえないといった最悪な初日となった。
ーーー校長は、初日できたばっかりのものをすぐ担任・・ましてや、3年Z組とは肩が重くなっていく。
しかし、校長からある提案を告げられた。
あ
る者を無断欠席させなければ半年だけの担任として任せようと変な提案だ。
だが、そのある者を無断欠席させなければ・・なんて容易い事だと思っていた。
だから了承し、3年Z組の教壇に立った。
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教壇に立ってみて教室を見渡せば、3年Z組は、普通の教室で普通の生徒達で、何が問題のあるクラスなのか疑問に感じるぐらいだった。
ーーーただの噂だったんじゃな。とフゥと一息おき、ひとまず自己紹介を簡単にし、名簿を開き出席をとる。
名前を1人1人呼びながら月詠は、ある者を探した。
『桂 小太郎』
『桂じゃないヅラだ。いやっ!?ヅラじゃない桂だ。』と机をバンッと叩き立ち上がる長い髪の者はスルーしてそのまま点呼を続けた。
『坂本辰馬』
『アッハハハ。えらい別嬪さんがじゃの。だがわしの愛するむっ・・グハッ。』と突然何が坂本の頭にあたり後ろに倒れるが、アッハハと笑い声がしたのでスルーして呼び続けた。
『坂田 銀時』
『坂田銀時はいないのか??』
名前を呼んだ瞬間から、皆シーンと静まりかえった。
ほとんどの生徒は、顔を下に下げその名前を聞かない様に黙りこんでいた。顔を青白くする者や、恐怖
からガタガタを歯ぎしりする者しまいには泣きそうになる女子が現れた。
だけど、桂、坂本、もう1人は何も変わらずのうのうとしていた。
ーーー銀時という者は何者なんじゃ?
と欠席と書こうとした時、1人が『あいつは、今屋上にでもいるんじゃねーの。センコーさんよ。』と片目を包帯で巻いている男が告げた。
その男子生徒の名前がわからなかった月詠は名簿を見て確かめた。
『えっと、たしか・・高杉じゃな。感謝する。じゃあ、ぬしらこの時間は自習ということでいいな。わっちは今から銀時を屋上から迎えるゆえ。・・ぬしら、自習だからって悪事は起こさぬ様にな。』
とガラガラッと戸をあけ屋上に向かった。
閉めた瞬間、クラス全体がガヤガヤと『白夜叉の餌食になるな。』と騒いだのは月詠の耳には届かなかった。