BOOK・・A

□想いは貫くべき。
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屋上へと上がる階段の途中で、先生達の言葉を思い出す。

『白夜叉という者ですよ・・。あのクラスの中で1番やっかいな奴でありまして。はぁ、名前を言うと余計怖くなりますね。校長先生。』

『そうだな。あんなやっかい者がいるから、ウチの学校は荒れるんだ。・・月詠先生どうにか頼みますよ。』


あんな事言う者だから、きっと恐ろしい奴かもしれぬ。リーゼントに決めて、長い学ランでも履いているのか?と想像していた月詠であったが、そんな事一目見ればガラリと印象が変わった。

ドアを開ければ・・そこには、フワフワと銀色の髪がゆれ、気持ちよく寝ている銀時の姿があった。


風に揺れている銀色の髪がとても綺麗で・・。
それにしても・・こやつ・・。

ーーーこんなわっぱみたいな顔の奴が白夜叉というものなのか?
と月詠は、銀時の近くによりじっーと眺めていた。

『おいっ。俺に朝から、襲いかけよーとしてんのか?お盛んですね。このヤロー』と突然、目をあけ月詠に睨みつけた。

そんな事に動じない月詠は『こんな可愛い童にわっちがか?馬鹿馬鹿しい。ぬし、はよ教室に戻りなんしっ。』と事もなく教室に戻るよう促した。

それを見て銀時は、少し面倒くさ
そうに『なんで、てめぇに言われねーといけないの?センコーでもねーのによ。』とムクッと起き上がり、月詠に向かってくる。


カツカツッ。

『わっちは、今日からぬしの担任になったんじゃ。』

『あっ、そう。』

カツカツッ。

『生徒は、先生の言う事を聞くものだ。』

『えー。それは先生の勝手でしょ。俺らは俺らなんだし。』

『それに、ぬし・・。何故わっちに近づいてくるのでありんすか?』

『あっ??そりゃ、自己紹介と挨拶しようとこうやって来てんのに、そっちが逃げてんでしょ・・。』

迫り来んでくる銀時に、月詠は少し恐怖を感じた。顔はニコニコ笑っているが、銀時の目は顔とは別に笑っていない。

ーーーーーこれが白夜叉と恐れられている証拠か・・。


月詠は、ゴクリと唾を呑み込んだ。




カツカッ・・キュ。


月詠は、ドンッと当たる冷たい温度に触れ、もう壁なんだと気づき上を見上げれば、銀時の顔がもうそこにはあった。

『さあ、先生。もう、逃げ場なんてないよ。そろそろ自己紹介させてくれる??』

『わっちは、ぬしの事をもう充分に知っておる。これ以上何を知れというのでありんすか。』と最後の抵抗とギュッと睨みを利か
せるが銀時には、何も痛くもかゆくもない。

『俺の事なんにも知らないじゃないですか。・・セ、ン、セ、イ。』ぐぃと月詠の顎を持ち上げ銀時は顔を月詠に引き寄せていく。
ーーーーーーこれで、少しは怖がって俺に近づかないだろう。

そう思った瞬間だった。

足先から鋭い痛みが走る。
月詠から、手を離し痛みのある方を見れば、月詠の鋭いハイヒールが銀時のシューズが突き刺さっているではないか。
しかも、グリグリと今にも貫通しそうである。

『てめぇ、何しやがるんだ。生徒に向かって体罰はいけないって知ってるだろ!!』

『なぁにが、『体罰』じゃ。これは『正当防衛』じゃ。ぬしは、女の扱い方を知らぬのぅ。それから勉強するべきじゃ。』

『なんだとっ!!あーわかったよ。けどな、てめぇも男の扱い方知らねぇみたいだな。もう一回1からやり直しじゃねーか??この暴力女。』

『何がじゃ。ぬしに言われとうない。いいから来るんじゃ!!銀時っ!!』

『あんた・・今俺の名前・・。』

『だから言っただろう。ぬしの名前は、当に知っておる!!早く授業に出るんじゃ。』月詠は、銀時の手を掴み教室に戻ろうとしたが、銀時に手を振り払われた。

『俺が、こん
な姿見せるなんてたまったもんじゃねぇよ・・。わかったよ!!今回だけだからな!!あんたの指示で行くんじゃないからな!!!』とズカズカと月詠の横を通り過ぎた。

『銀時・・そっちは壁じゃぞ。出口はあっちじゃ。』と指を指し教える月詠に、銀時はむしゃくしゃしながらも『ありがとうよ!!』と顔を赤らめながら、即席にその場を去った。

『意外と素直ではないか。』と月詠は、プッと微笑した。


それが、銀時との最初の出会いだった。
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