□蝶は蜘蛛にとらわれる。
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銀時の側にいるとダメなんじゃ。

胸が苦しくなる。

側にいると身体が熱くなる。

銀時・・。
この気持ちどうしたらいいのでありんすか??





自信を取り戻した月詠は、多少客の冷ややかな目も気にしなず踊り終えた後、店長の新八に呼ばれた。

『ちょっと言いにくいんですが、オーナーご存知ですか??』

『オーナーとな??わっちは前のオーナーお登勢殿しかわからぬゆえ。それがどうしたというのじゃ??』

『お登勢さんじゃなく、今のオーナーさんが、月詠さんの踊りには色気がない。という事なんですよー。』

『なんじゃ??それでも上手くいっとるではないか??』

『それは、そうなんですよ。だけど、月詠さんには色気があった方がこの店の売り上げも上がるという事で・・。』と新八は申し訳なさそうにボソボソと話す。

『そうか・・。それもそうでありんすな。よしっ!!では、どうすればいいのじゃ??何かオーナーはその事でわっちに何か話したい事でもありんしょ??』

それを聞いて、新八は目を輝かした。
『さすが、月詠さん!!実は、オーナーが仕事終わりにオーナー直々に指導していくって言ってるんですよね。』

『うむ。そうなのか。わかっ
た。そうでもしなければ、新八にも迷惑がかかるからの。』

『すみません。あと、オーナーは無口なので、最初は見てから指導していくみたいですよ。』とオーナーからの伝言を月詠に伝えた。

『そうか。けど、無口ならどんな指導をするのかの??まあ、いいでありんす。』と仕事終わりに指導を受ける事になった。






仕事終わりに、舞台に行くと客席に銀色の髪をした男が座っていた。

ーーー銀時か??

と思うのだが、銀時は違って髪が長くまとめており、耳にはピアス。目にはサングラスをかけていている。
まあ、似ている人は、世界に3人いるからの。と思い、気にせず踊り出す。


曲がおわって、何かアドバイスがあるのかと待っていたが、何もせず立ち上がり帰るといった行動を仕事終わり毎日繰り返していた。

だが、1人の相手に踊っているためか、踊っている時の視線は熱く、なぜか月詠の心をかき乱していた。



そういった日々が続いた時、仕事終わりに銀時にようやく話す事が出来た。


月詠は、あれ以降銀時の事を意識しだし、胸が熱くなりドキドキも止まらない状態だった。
病気と思い、日輪に相談すると『それは、恋だね。』と言われ、躊躇していたが今
は恋焦がれている。
久しぶりにしゃべるの。と心をときめかしながら『天パは、相変わらずかの??』と気持ちは裏腹な言葉が出る。
『なんだよ。話すの久しぶりっていうのに、なんだその挨拶は??相変わらずだな、アバズレ。』と皮肉そうに言う。

そんな事気にせず、『なぁ、オーナーって誰かわかるか??』とオーナーの事が気になり、長年勤めている銀時に問いた。
『オ、オーナー??あー。今のオーナーなんて知らね。銀さんそんな事気にしねータイプだしっ。』と話をそらされた。

『そうか。ぬしに似てた上、あんな焼けの原だとオーナー殿もかわいそうじゃの。』と可哀想な顔で銀時の頭を見る。

『なにっ!!そいつってイケメンだったわけ??いやーその人も、隅に置けねぇな。』と腕組みしながらうん、うんとうなずく。

『はぁー。やはりぬし頭の中も焼けの原だな。』と哀れな目をやる。

『焼けの原って月詠てめぇー。てめぇも同じ頭にするか!!コノヤロー。』とまた口喧嘩になる。


月詠はあーだこーだーといい争いするが、この時間が楽しくもう少し側にいたいとワクワクしていたが、突然銀時に『俺、ちょっと用事があるからまたな。』と途中で切り上げられて立ち去ってい
った。

立ち去った後、月詠は先ほどとは違いツラそうな顔をする。

ーあんなに楽しかったのになぜじゃ??
こんなに気持ちが落ち込んでしまうのは。
銀時も、最近はあまり話かけてこんし、わっちの事嫌になったのでありんすか・・。

止めどい気持ちを抑えつつ、裏手に戻り指導の準備に急いだ。
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