NARUTO

□愛ゆえに
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『っ…いってぇ…な

…カカシ先生っ!!
なんなんだよ、いきなり殴ったりして
ひどいってばよ!!』


ナルトに腕を掴まれてふと我に返った


「あ、また俺、お前のこと殴ってた?」

『これで何度目だと思ってんだ!!
殴ったり噛んだり、
この前噛まれたとこまだ痛むんだからな!』


先日俺が同じく無意識に噛んだらしい
首元をさすりながら
ナルトは思い出したように苦い顔をしていた


『今日こそ理由を聞かねぇと気がすまねぇ』


腕を掴んだまま睨まれたが
そんなところも可愛いなと思ってしまう

自分でいうのもなんだが
普通ここは大丈夫か、とか
声かけるべきなんだろうけど

そんな気にはさらさらなれない


「毎回言ってると思うけど、
理由とかないのよ

急に殴ったりしてごめーんね」

『カカシ先生毎回それだよな
オレの事気に食わないのか?』


腕を掴む力が弱まって
言葉にも勢いが消えていた


「いや、むしろ逆
お前のこと好きすぎて、

暴力振るいたくなるほど気持ちが昂っちゃって」

『それ今流行りのDVってやつ?』


変なものを見るような視線を寄越してきたから
ナルトから視線を外して笑ってやった


「さぁ、どうだろうね
1つわかることがあるとすれば
ナルトはさ、
痛い思いしても俺の事好きでいてくれるでしょ?」


『えー、それはわかんねぇ、
今は好きでももしかしたら
次は嫌になるかもしれねぇし』


「ははっ…まぁ、そうだよな」


『先生?』


何かを察したように俺に視線を合わせようとしてきて
なんならもうちょっと違うところでもそういうの
発揮して欲しいななんて思うんだけど


「なんでもないよ
痛い思いさせちゃったかわりに
今日の晩ご飯はナルトの好きなラーメンにしようか」

『やりぃー!!』


ラーメンで喜べるんならもう元気の証だな
痛みはよくなったみたいで安心した


ナルトはわからないなんて言うけど
俺にはわかる

わかるからこそ、
俺もまた甘えてしまうんだけどね


本当に、ほんとに、愛しているからなんだよ
ナルト

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