NARUTO

□そっと、
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いつもなら躊躇なく入っていくところであるが
今日はそのいつもとは少し違った
カカシは窓越しにナルトを見ていた


「やっぱりな…」

カカシの思った通り
ナルトはベットの上で布団を被り丸まっていた

気配を消しベットに近付き
名前を呼べば

ナルトは被っていた布団を
投げ飛ばす勢いで振り返った


「こら、怪我人は寝てなきゃダメでしょ」

布団を拾い上げてベットの上に戻し
カカシも端に座った


『なんともないってば!
ほら、オレってば元気!!』


ニシシと笑顔を作って
腰に手を当てて笑っているナルトを見て、

関係が浅ければ信じてしまうところだが
ずっとナルトを見てきたカカシには
笑顔の裏が容易く読めてしまって
溜息しか出なかった



任務で怪我を負ったらしい
アスマからの報告だった

たまたま上忍の人数が足りず
駆り出されたのがカカシで、
その代わりといって
アスマが七班の隊長を代行することになった

任務中腹部に怪我を負った様子だったが

アスマが何度聞いても
大丈夫の一点張りだったらしく
そのままにしておくのも心配だったため
カカシに報告したのだった

カカシはベットの上に横になり
ナルトを呼んだ

「わかったから、こっち来なさい」

『なになに?修業?』


わざととぼけたような発言をするナルトに、
カカシの方が苛立ちを覚える


「いいから、こっち来る」

痺れを切らして腕を引っ張ると


『なんだってば、かかしせんせー』

抵抗はせず不貞腐れたように
カカシの隣に横になった


カカシはこのまま怪我のことを言い続けるのも
ナルトにとってはよくないこともわかっていた

強がって生きてきた、
それに加えて恋人の前ではかっこよく在りたい
なんて思っていることも。


『せんせー?』

「ナルト、一つだけ覚えてて欲しいんだけど」

『ん?』

「お前のこと、俺が一番わかってるから」

『うん、…え?それだけ?』

「うん、それだけ」


想像と違つたのかナルトはきょとんとして
カカシを見つめている



無理にこじ開けようとは思わないから。
いつか耐えきれなくなったとき、
その時は必ず自分を頼るように


「それだけって、大事なことだよ」


さ、寝るよ。
とナルトを抱き寄せれば
大人しくカカシの胸におさまった


いつか全てをさらけ出してくれる時が
少しでも早く来ますように。

「これからもずっと、…」
見守ってるよ

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