BLEACH

□雪とたくさんの思い出を
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季節のイベントを感じると
ついつい昔のことを思い出す

しかし朝一から雪なんて
今日は一段と冷え込みそうだな

早朝、隊首室の扉を開けて外を眺め、
扉を閉めて市丸隊長の元へ戻ろうとしたところ

「なんや寒い思てたら…
雪、なァ…」

後ろから僕を抱きしめながら
あんまり楽しそうじゃない風に言うもんだから、
雪がそんなに好きではないのだろうと認識した


この雰囲気だと、眉間にシワが寄ってる気がする…

寒さも強くなってきて
もう一度扉を閉めようとしたところ


「思い出ないから‥」

今度は寂しそうに呟いたものだから
気になってしまって



『…一つも、ですか?』

「…一つも、ないなァ」




そっか…
だからなんだ

ただ雪が降って寒いと思うだけで
なにも思う物がないから
疎ましくもあり、
また逆に寂しいとも感じていて




『でしたら…
僕に付き合ってくださいっ!』


市丸隊長は僕の言った意味が
よく解らなかったようだけど、
そんなことは分かっているから

返事を聞く前に隊長の手を
掴んでそのまま外へ飛び出した



『つ、冷たい!!!!』
「当たり前や、阿呆…」


裸足の雪はやっぱり
冷たかったけど、

これも思い出になりますから!

とか言いながら反射的に
市丸隊長に飛び付いていた



「あ、阿呆っ」
『あ…』


気付いた時には反動で倒れていて
市丸隊長の上に綺麗に僕が乗っている状態で、
失敗したと顔が青ざめていくのが分かった


『す、すみませんっ…と…え、わっ』
「大人しくしとり」

勢いよくどこうとしたら
手首を引っ張られて、

おかげでまたもや体制を崩したところを
またまた隊長に助けられた感じになった


『ほんとすみません…』
「謝ることないで?
えぇ思い出、出来たし…」


顔を伏せた時に垂れた僕の髪の毛で
市丸隊長が遊んでいるのがわかった

恐る恐る隊長を見ると笑っていて、
成功したのかもしれないと思うと嬉しかった


「まァ…寒いのは
変わらへんけどな」

『わ、忘れてました!!!!
隊長っ!背中…
凍傷になってしまいます!!』


急いで隊長を起こして、
背中の様子を見ていた


「また…」

『はい…?』


「来年もこうして雪、見たい」

『来年でも再来年でも、雪、見ましょうね』


また隊長は笑って、
暫く僕等が倒れていた雪の上を見つめていた


雪だけじゃなくて
他にも思い出を作って、
あの時は…なんて思い出してくださるといいな

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