■BracK?WhitE?
□この町の外れで
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錆びた鉄と薬品の匂いがする生温かい風が僕の体を包む。
廃材の山があちこちにあり、そこには、たくさん人間の影があった。
そうこの町は、「見捨てられた人間達」が廃材に埋もれて生活する町だ。
家や職を失った人達が、この町に集まるようになり、人身売買、ドラッグ、ギャンブルが蔓延る町になった。
最初、僕は、こんなことが頻繁に起こるなんて異常で、そんなことをするやつの思考回路はおかしいのではと思っていたが、最近では、「まぁ、しょうがないか」と思うようになってしまった。
慣れというのは怖い。
もし、殺人が多発するようなところで、生活していれば「殺人を犯すのはあたりまえ」になってしまうだろう。
それは、しょうがないことだと思うだろう。
だが、そのことは決して「イイコト」ではない。
異常な空間で生きていれば、判断力もおかしくなるだろう。
この町は、そんな人間達があつまる町なのだ。
警察官なんて、まるで役に立たない。
酒や薬に溺れている警察官は山ほどいる。
そのため、治安は悪くなり、負の連鎖が続いている。
だけれど僕は、こんな町で正しい判断をしていると思う。
僕の考えは、正しい。
絶対的正義だ。
それなのに・・・それなのに・・・僕の考えをわかってくれない人間が多すぎる。
僕の考えがみんなに伝われば、この町はまた「楽園」と呼ばれるようになるだろう。
僕には、そう信じることしかできなかった。
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