わがまま私は愛されてますか?-カゲプロ夢セト甘〜激甘までちょいちょい入-

□生まれた理由
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亡くなった女や、親父を責め立てるのは、解る。

僕だって、殴り倒してやりたいほど憎い。

『お前たちのせいで、僕も母も辛い思いをしているんだぞ』

そう言って責め立てたい。

けれど、生まれた彼女に罪はない。

母に、なんとか条件付きで育てることを許してもらえた。

母は、なんだかんだ反対しても、引き取るにあたって、全力でやってくれた。

そのあとは知らないと言いながらも、何度か様子を確かめていた。

そんなある日、女の遺品として、女の日記が送られてきた。

その日記は、何冊にわたり書いてあり、表紙には『私日記』と書かれていた。

開けば中に書かれていたのは、日記ではなく小説。

小説は、主人公が中学校に入学したあたりから書かれていた。

読んでいくうちに気づいたこと。

主人公は女自身であるということ、その恋した相手が僕の父親であったということ。

僕の母がそれを読んで泣いていたのを僕は知らないふりをしていた。

初めて父にあった日のことや、初デートのこと。

きっとたくさんあると思うけれど、それを全部思い出しているようだった。
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