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□キバ 夢
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「キバー、いるー?」

「うぉっ!?なんだよお前いきなり! 部屋に上がる前に玄関のチャイム鳴らせ…!」

「べつにいいじゃん?」

「ったく、お前はいつも勝手に人の部屋に上がりやがって…」

なー赤丸?と、キバは抱いていた赤丸に言った。

「本当は嬉しいクセに!」

「うるせぇな…」

「照れるな照れるな!
赤丸も私が遊びに来て嬉しいね?」

今度は私が赤丸に問うと、赤丸は元気よく返事をしてくれた。
そんな赤丸をキバの腕の中から自分の腕の中へと移動させる。
赤丸は抱くとふわふわで、少しだけキバの匂いがした。
そんな赤丸に顔を埋めて抱きしめる。

「で、今日は何の用だよ?」

「そうだった!あのね、新しく出来た甘味処があるんだけど…
そこにキバと行きたくて!」

ね、行こう!
そう言って腕を引っ張れば、キバは溜め息を吐きながら腰を上げた。










「あぁ楽しみぃ!何食べようかな〜…」

どんなものがあるんだろ〜?
あんみつあるかなぁ?
あ、でもおしることか栗ようかんとかもあるといいな!

「お前、…」

「ん?」

「太るぞ。」

キバが手を繋いでいない方の手で私の頬をつねった。

「失礼な…! 私は太ってなんかいませんー」

「いや、だからこれから太るぞ」

「…だ、大丈夫でしょ。修行したり任務こなしたりするし…」

「お前みたいに毎日甘いモン食ってると分かんねぇぞ…?」

お前、最近体重増えたろ。
その言葉に私はビクッと反応した。

バ、バレてる…!?
いや!でもあれは何かの間違いだ…!
そうじゃないとしたら筋肉!

「…や、やだなぁ〜。そんなわけな…い…っ!?」

「やっぱちょっと肉ついきてんじゃねぇ?」

言いながらキバは私のお腹を服の上からさすった。

「し、失礼だろぉぉ!!!」

「がっ!!」

私はキバの頭をグーで殴ってやった。

こいつ、なんて失礼なこと言うんだレディに向かって…!

「最低。もう知らない!」

「や、冗談だって…!
別に肉ついてきたなんて思っちゃいねぇって…!」

「フン!」

私はキバを置いて赤丸とスタサタと歩いた。
その後をキバは焦りながらついてくる。
その様子が少しだけおかしくて笑みがこぼれる。

子犬みたい。

おい、と不意に腕を掴まれて立ち止まる。
キバの方を見ると、目を泳がせて言った。

「あ、いや…さっきのはマジで冗談だから、その…別にお前は全然、その…太ってなんかねぇから…んー、な、何でもするからそんな怒んなって…!」

そんな感じでしょんぼりして子犬みたいに謝ってくるキバに私は微笑んだ。

「いいよ!」

「…はぁ!?」

「キバがそこまで言うなら許してあげる。
というわけで、今日はキバの奢りだからね!!」

「なにぃ!?
お前!まさか最初からそのつもりで…!」

「違うよ。 ただ別に怒ってはいなかったよ?
さーて、いっぱい食べるぞぉ!」

「はぁ…。俺の金が…」



肩を落とすキバの腕を引いて私たちは甘味処へと入っていった。



「なぁ。俺、殴られ損じゃねぇか?」

「…気にしない気にしない!」

「……………。」




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