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□キバ 夢
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遅い。
遅い遅い遅い遅い遅い遅い!
自分から一緒に散歩しようって誘ってきたくせに遅刻するなんてあり得ない…。

「おう、待たせて悪かったな!」

元気よくそう言いながらキバは赤丸とこちらへ歩いてきた。

「アンタ、ほんとに悪いと思ってるの…!?」

「思ってるぜ?」

「悪いと思ってるなら1時間も遅れて来ないでよ!
で、何で遅れたの?」

聞かなくてもだいたい予想はつくけど。

「あー…、寝坊?」

やっぱり。

「…あのさ、もうちょっとマシな理由なかったの?
例えばホラ、いつもよりかっこよくしてこようとしてたとかさ…」

「何言ってんだよ!俺はいつでもかっこいいじゃねぇか!!」

「どの口が言ってんだ?」

「別にいいじゃねぇか。ちゃんと待ち合わせ
場所には来たんだしよ!」

「普通は女子の私が遅れる方だと思う…」

なんか、私ばっかり楽しみだったみたいじゃん…。
そう呟けば目の前のキバは頭にはてなマークを浮かべた。

「私は…。私は、キバと一緒に赤丸の散歩するのめちゃくちゃ楽しみにしてたんだけど…」

「ナマエ…」

だって、だって……。

「…私たち、班が別々だから一緒に任務なんて滅多に無いし、休暇だって重ならない時が多いし…、なかなか二人の時間ないから…今日がすっごく楽しみだったのに…」

瞬間、手を握られた。
久しぶりに触れるキバの手のひらは温かくて、大きくて安心した。

「ナマエ…」

名前を呼ばれてキバの顔を見つめる。
ちょっとムカつくけどかっこいいと思うのは惚れた弱みなんだろうか。

「お前きのう男二人と歩いてたろ!?
アイツら誰なんだよっ!!」

「は…!??」

「なんであんな仲良さげに歩いてたんだよ…!」

「きのう……って、それ同じ班の子達だけど?たぶん、任務の帰りじゃないかな…」

「…俺が寝坊したのはお前のせいでもあるんだぞ。責任とれよ」

「何それ…」

「そいつらのことが気になって寝れなかったんだってーの…!」

キバは少し顔を紅くしてそっぽを向いた。

「嫉妬したんだ?」

「うっせぇ。」

キバの顔がぐん、と近くなったかと思うと、唇に柔らかな感触が触れる。

「……ん…っ。」

口づけは徐々に角度を変えながら深くなっていく。

「…ちょっ、ん…キバ…っはぁ……んん、」

頭を固定されていて動かすことが出来ない。
長い口づけで息がもたなくなったなった私はキバの胸を押し返した。が、びくともしなかった。

「ん〜……っ…! 」

仕方なくキバの唇を噛む。

「っ…!!?」

痛みにビックリしたキバが勢いよく私から離れた。

「っにすんだよ…!いてぇだろ!?」

「…長い!するならもうちょっと短くしてよ…!」

「しょうがねぇだろ、溜まってんだよ!!」

「だからってがっつかないでよ!」

「…どーでもいいけどよ、…お前ら赤丸ほったらかしてイチャついてんじゃねぇよ…」

聞き覚えのあるだるそうな声に私とキバはハッとした。

「シカマル…!?」

「んで、お前がいんだよ!?」

「何でって…それはこっちが聞きたいっつーの…。
人ん家の前を待ち合わせ場所にすんじゃねぇよ、バカっぷる」

「仕方ないじゃん?」

「お前ん家、大きくて目印になっからよ!」

「…お前らまじでめんどくせぇ…。」

散歩行くんならさっさと行け、シカマルは私たちをシっシっと急かした。
思いっ切りめんどくさそうな顔をしたシカマルに免じて私たちは歩きだす。






「だいたい、キバは私の班の顔いい加減覚えてよ!毎回変な誤解してさ〜」

「興味ねぇ奴の顔なんか覚えたくねぇよ。
まぁ、お前のヤってる時の切羽詰った顔なら……っいてぇ!!」

「余計なこと言わなくていいから。」

「あ〜はいはい。つか、お前もうアイツらの近く行くな」

「何でよ?」

「お前から俺以外の男の匂いすんの嫌なんだよ」

「…独占欲の強いワンちゃんだこと」

「まぁな!」

そう言ってキバはニッとはにかんだ笑った。
私の好きな顔。

心臓の鼓動が速くなる。

キバの独占欲丸出しなとこに私は弱いんだ。




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