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□ネジ 夢
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「ねぇ、ネジー。」

「どうした?」

「ネジはいつからボケになったの?」

言うと、ネジは顔をしかめて私を見つめた。

「やだなぁ、そんな風に見つめたら照れるじゃんか…」

「俺がボケ、だと……?」

「あ、スルーされた…。」

どういうことだ、とネジがますます顔をしかめて考える。

「あーその顔かっこいい…」

「おい、話が噛み合っていないぞ…」

「最近さ〜、他の子たちネジ様かっこいいとか言ってて…」

「は?」

「ん?」

「あ、いや…だから…」

ネジが困った顔をした。
なんてかわいいんだちくしょう。

「お前は一体何を言いたいんだ…」

「え?あー、もうボケとかそんなのどうでもいいんだけど!
ねぇ、ネジー!ネジってばー!ねぇねぇねぇ!天然タラシなネジさーん!!
わざとなの?ねぇ、わざとモテたりしてるの?
私以外の女の子にも優しくしてるの?ねぇ!」

「……うるさい。」

「むぐっ!」

ネジは私の口を手でおさえた。
唇がネジの白い手のひらに触れる。
いきなりそういうことするのはズルいと思うんだけど。
私の心臓がもたない。

「………。」

「だから、お前はさっきから何が言いたいんだ?」

そう言うと、ネジは私が喋れるように手を退けた。

「…他の女の子たちがね、ネジのことかっこいいって、好きだって。ネジと話したとか、手伝ってもらったとか…自慢してくるの…。
ネジのこと一番知ってて一番大好きなのは私なのに……。」

「…つまり、嫉妬したのか?」

「だ、だって…!
…………ねぇ、他の子たちにも私みたいにしてるの…?」

「……………………そんなわけないだろう」

「え、なに今の間!?」

「冗談だ。そんなことするわけないだろ。
俺が好きなのはお前だけだ。違うか?」

ネジはとても優しい表情をしていた。
ネジの言葉と表情だけで私の心は満たされ、さっきまでモヤモヤしていた嫉妬心も消えた。

ちょっとでも疑った自分がバカだった。

そう思った。

「ごめん、ネジがそんなことするわけないのにね…」

「当り前だ。お前こそ、他の男の気を引くようなことしてたりするんじゃないのか?」

イタズラな笑みを浮かべてネジはそう言った。

「んなわけないでしょ!わ、私はネジオンリーなんだから…!」

「くく、そうだな」

ネジがおかしそうに笑う。
あぁ、笑顔が眩しい…。
なんてかっこいいんだろう。

「おっしゃ!ネジの笑顔は私が守るからね!」

「…いや、そういうことは普通、俺が言うことだろう…」

「ネジは安心して大丈夫だからね!
黒船に乗ったつもりで任せてよ!」

「それを言うなら大船だろう…」

はぁ、とネジは溜め息を一つ吐いた。




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