小説1

□無自覚デート
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「何着てけばえーねん!?」

先日のこと。
高校で友達になったクラスメイトの高橋千秋。
彼女の身に危険が迫っている事を知ったあたしは、それを助けに行って逆に捕まってしまった。
一瞬……もう駄目かと思ったが、同じクラスの奴が来てくれて。助けられ、そしてあたしが泣き止むまで肩を貸してくれた藤崎佑助。

助けられといてアレだが、その姿は決して格好いいものではなかった。
泣いてるし、へっぴり腰だったし……。
でも、それでも…!

[俺は友達は裏切らねぇ!!! 絶対にだ!!]

そう言った藤崎の瞳がまっすぐでとても綺麗だと思った。
人の肩で泣き縋ったのはいつぶりだろうか。その前に最後に涙を流したのがいつかすら覚えていない。

「うわっ!もうこんな時間なん⁉早よ寝な…っ」

あの時のお礼も兼ねて、買い物に誘ってみた一愛。
お礼とか言いつつ、佑助のことが気になって仕方が無い。この気持ちを何と呼べば良いかは分からないが。

回想に耽っていて止まっていた手を再び洋服選びのために動かす。
(気合い入れすぎてもアレやし…。かと言って変な格好で行くのは嫌やしなぁ…)

「………」
お気に入りの濃いカーキ色をしたショーパンを一瞥すると少し考えて、よしコレや!と頷いて決めた。
下が決まると上も決まりやすいというもんで。
白色の襟元の大きく開いたニットを手にして、その下に着る黒のタンクトップを皺にならないように、重ねてハンガーにかけてから明日に備え寝ることにした。

(とにかく明日は思いっきり楽しも!)



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