小説1

□僕の夏休み
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ー小さい頃から時々変なものを見た。
他の人には見えないらしい、それはおそらく妖怪と呼ばれるものの類ー。



「ほら、お前らー。席つけー」

ガラリと教室のドアを開け、どこかだるそうに入ってきた担任。


「じゃ、夏目。また後でな」
「あぁ」

それによって、皆そわそわした感じで席に戻って行く。
俺たちも例外ではなく、西村は席に着いた。





-夏休みに行くところ-



「明日から夏休みだ。皆、ハメを外し過ぎないように!」

「おおー!」


生徒たちの歓声を他所に、担任の先生はニヤリと口角を上げる。
手に持っているのは、そう…夏休みに入る時に配られる、生徒たちをどん底に陥れるアレ。

「さぁ、お待ちかねの通信簿配るぞー」

「「えぇー‼」」

生徒たちの心が一つになる瞬間。
出席番号順に配られる、通信簿。それを見て顔を青くする者や、思ったより良かったと安堵する者など様々だ。

「次、夏目、夏目貴志ー」
「あ、はい!」

ぼーっとしてると二回も先生に呼ばれてしまった。
恥ずかしい。

通信簿を受け取り、席に戻ると、あまり見たくない気持ちでそろーっと中を開いた。


「…うん。まぁまぁか」

授業中は寝てたり、帰ると妖に襲われたり、名を返したりと。全然勉強できる環境じゃないが、元々頭は悪い方ではない。

というものの、以前は親戚の人たちに迷惑を掛けないために、必死に勉強したもんだ。
特に子供同士で遊ぶわけでもない。本を読むか勉強をするしかなかった。

だが今は違う。

学校は楽しいし、妖と関わるのも、それほど嫌ではなくなった。
何より、帰りたいと思う家がある。



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