小説1
□だって君が笑うから
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仕事帰りのサラリーマンや、大学のコンパなどで賑わいを魅せる、金曜の夜の居酒屋。
その一角で、久々に集まった飲み仲間であるシャルルカン、ヤムライハ、マスルール、ピスティの4人。彼等は他の客とはまた違う賑わい方をしている。
「ヤムってばまたフられたの?これで何連続?」
「う、うるさいわね!そんなのいちいち覚えてないわよ」
「でもさ、フられたって言う割にはいつもより元気あるんじゃない?」
「そう?まぁこれだけフられれば落ち込み方も半減するみたい」
「(どんだけフられてんの!?) とりあえず飲んで忘れなよ!そして次の恋を探せばいいじゃん」
「……、そうね!ありがとピスティ。よーし!今日はとことん付き合ってもらうわよ、みんな!」
「っす」
「じゃあカンパーイ!」
ピスティが高くジョッキを掲げると、それがぶつかり合う音が豪快に響いた。
ごくごくと喉を鳴らしながらジョッキの中が一気に無くなっていく。
意識、しているのか
それとも無意識なのか
自分ではわかっているのだろうか
恐らく自分でも気付いてないんだろう
そして他のやつも知らないと思う
(相当落ち込んでやがる……。一体どんなフられ方したんだか)
シャルルカンが乾杯の後に一口だけ飲んだビールの入ったジョッキを、ピスティとマスルールと談笑しているヤムライハへ向かって軽く持ち上げてから、中身を一気に飲み干した。
-だって君が笑うから-
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