ドSな彼女 第3章

□困った人々
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千穂side…


アイツと別れて

部屋に戻ったら…



「あ!お帰り〜♪いただいてまーす!」

『え?あっ!ちょっとっ!!』



さっき…

アイツが持ってきた ケーキを

フォークも使わないで ガブガブ食べる京塚さん。



『勝手に食べんなっ!』

「いーじゃんっ。河合先生の好きなトマトのケーキは残したからっ♪」



ブルーベリーのソースを

口の端につけたまま、


勝手な言い訳しやがって。。



「ここのケーキなつい〜♪学校の近くのお店でしょ?」

『…知らないっ。』



「何で(笑)?自分で買ったんしょー?」

『……違うし。』



仕方なく、

あたしも手づかみで


トマトのケーキを頬張った。





もぐもぐ。



「もしや、くにっち?」

『……。』



…もぐもぐ。




「…だからかー」

『……?』




ごちそうさまでした

ってやった京塚さんが



自分の食べたケーキの残骸を指差して、



「くにっちの好きなケーキだもんね。ブルーベリーのやつって。」




って 言った。




…そういえば

ブルーベリーケーキ、好きだったっけ。




一緒に食べるつもりだったのかな。






これ持って 部屋に来た時の…



「うるさいっ!」って

手をはね除けた アイツの顔を思い出した。




京塚さんのお陰で

誤解が解けたんだっけ。




…でも。


京塚さん さっき…。




『ねぇ、』

「んー?」



クッションカバーの ほつれた糸を

気にするフリして、



ワザと目を合わせないで 訊いた。


『京塚さん…さっき』

「さっきー?」



『…ん』


「なーにー?」




…コホン。




『…好き って言ったよね?』

「んー?何をー?」



『何を…って!』

「あー、くにっちの事?」


爪をいじりながら


しれっとして聞き返してる。




…ワザとらしーんだよ(怒)




「だからー?」

『だから?って……ほっ本当に好きなワケ?林先生の…事。』




京塚さんが、

綺麗な黒目で じっと見てる。



『…ちょっと聞いてる?!』


ふいっ って

あたしから クッションを奪い取る京塚さん。




『あっ!何すん…』

「こーやって取られちゃうよ?」




え?




「くにっちの事、ちゃんと見てあげないとさー。」


『はっ…?あっあたしは別にっ…林先生の事なんかっ』



ポーンって

宙を舞う クッション。



ポーン ポーン って


あたしを見ながら


何度も何度も 真上に投げてる。




「ほれほれ。」

『…なに?』




「取り返さなくていーのー?」

『はっ?!』



目の前で

猫をじゃらすみたいに


揺らされるクッション。




『……。』

「くにっちどっか行っちゃうよー?」




…ムカつく。

焦ってなんかない。



ただ…


癪に触っただけ。




ぶんっ って


クッションを奪い返して、



『シャワー浴びてくるっ。』




京塚さんを見ないで

捨て台詞吐いた。





〜〜〜〜〜〜〜〜

シャワー浴びて


京塚さんが観たがるから

映画のDVD2本観て…





真夜中。




余分な布団なんてないから、



しぶしぶ

京塚さんと1つのベッドに寝た。


「んー、狭いっ!」

『うっさいなー、文句あんならソファに…』

「おやすみなさーいっ♪」




……クソJKめ。



本当疲れた。

早く寝なきゃ 明日学校…


『あ、明日学校どーすんの?』

「ちゃんと行くよ?制服持ってきたし。」



『…家 大丈夫なの?』


今さらだけど。。


「さぁ…」

『さぁ…って』



あたしの言葉を遮って

京塚さんが



こっちを見て訊いた。




「先生さー、くにっちとHしてから何か変わった?」

『はっ…//?!!』



からかわれてんのかと思ったけど…

京塚さんは マジメな顔してたから、




ちょっと考えてから

マジメに答えた。



『わかんない。

でも…変わったかも。』



天井をじっと見ながら、

呟いた。



「…どんな風に?」



どんな風に?




「ねー!どんな風にってば!」





うまく答えられないから、


黙ったまま 寝返り打って



目をぎゅってつぶった。





寝たフリ。。



「寝ちゃったの?ちょっともー!!」



ため息が聴こえて


ブランケットに くるまった気配。




静かな呼吸が聴こえてきた頃…






小さく答えた。




『あたしさ、



NYでの林先生の事ばっか思い出しちゃってさ。


なんか 欲求不満みたいで、


こんなあたし…


知られたくないんだよね。』





静かな寝息が聴こえる。




ベッドサイドのライトを消して…



今度は本当に


目を閉じた。
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