あつみな3 〜夢の河〜
□4度目の 春
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4年後…………
南side…
駅のホームで電車を待ってる。
「高みなー!おはよー。」
「おー、高みな!今日宿題忘れちった。」
『ちょい待てーぃ!いーかげん『先生』って呼んでや……。』
大学を卒業して……
ボクは
念願の教職に就いた。
学力も
スポーツも
真ん中くらいの公立高校。
実家を出て1人暮らしも始めて……
勤めてる学校までは2駅、
電車通勤してる。
「高橋先生、おはようございます♪」
『あ、おはようございまス!』
短大卒で
事務員の渡辺さんや。
ちょっと関西訛りがあって、
笑った顔がかわいーって
男子生徒のアイドル。
「今朝寒いですねー。」
毎朝
電車で会うボクにも、
気さくに声をかけてくれる。
「高みなー、みるきーに手ぇ出すなよっ!」
「ヒューヒュー♪」
『やかましいっ!!』
まったく……。。
「ウチなんかとウワサが立ったら、高橋先生に悪いわぁー。」
『いやいや、渡辺さんこそボクには高嶺の花でスよ。』
ちょっと下を向いて
はにかむ 渡辺さん。
かわいー人だなー(笑)。
「高橋先生 今度良かったら……」
『はい?』
「……ウチとゴハンとか 行きませんか?」
『おー、ボクはいつでも暇でスよ(笑)』
「あはは(笑)……いつでもってー、彼女さんとかは?」
……ズキッ。
「……先生?」
『あ、、今いないっス。』
「……そうなんやぁー。」
彼女。
ボクはそう呼べる人に
あれから
1度も出会っていなかった。
「高橋先生みたいな マジメで優しい人の彼女になれる人は幸せですねっ。」
『……マジメで優しくなかった方が 良かったんだろな。』
「えっ?」
『あっ、いやっ。へへっ(笑)ありがとうでス。』
駅に着いて、
人波に押し出される。
ボクの 1日の始まり……