あつみな3 〜夢の河〜

□愛しさのアクセル
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敦子side…


舞台挨拶は

指原のおかげで、なごやかに終わった。



「映画の中で恋人だったお二人ですが、プライベートでは……」

「指原は映画と同じで実生活もMなんですけどー、前田さんの場合 映画ではSながら実際はMらしいんですよー。」




「え"? 」『はぁぁっ?!』



「MとMの恋愛なんて聞いたコトありますか?どっちも受け〜みたいなっわはははっ(笑)」


「……はぁ(苦笑)」





「前田さん、先日指原さんのマンションに……」

『え……あの。。』



「指原そーいえばマンションのエントランスで幽霊みたんですよー。」




記者の人の質問を


一手に引き受けてくれて、


やんわり否定してくれた。



『指原。』

「あ、終わりましたねー。」



廊下で 声を掛けると、


さっきの事には 

なにも触れない 会話。



『……ありがとう。質問とか……慣れてないから。』

「あー全然全然っ。てか指原むしろ怒られるかと思いましたよー。」


『え?』


「……もしかしてー本当にMなんすかっ?」




……あ!

そーだった。


『……あれはサイテー。』

「すっすみませんっすみませんっ。」




……ふふっ(笑)

何か……イイやつ。



『あと、もう1個。』


腕を組んで問い詰めた。




『何でさっき……いきなり抱きついたの?』

「あ……////」




「指原くん、敦子!戻るわよ。」

うちのマネージャーと

指原のマネージャー。




また悪い人みたいに

車に押し込められる。


シートに座って

ホッとしたあたしに



外の声が 聴こえた。


「さっしーに近づくなっ!!」

「そーだよっ。ウチらのさっしーなのにっ。」


胸に突き刺さる 言葉。



「あっ!さっしー!!」


「こっち見てさっしー!」



指原が出てきたのかな。


スモークの貼られた窓から

外を見た。




「指原さんっ!前田さんとの交際は順調ですかっ?」

「指原さーん!何かヒトコトっ!!」



指原の声が響く


「あ、前田さんとは交際してませーん!」



指原……否定してくれた。


勝手に 大丈夫かな……。




「指原の 片思いでーす!」


えっ……?



『……なに言って……』


車に乗り込んできた指原に

詰め寄る。



『なに言ってんのっ!!』

「勝手に否定したから怒られちゃいますかねー。」



『そっちじゃないっ!!』

「「そっち」は本当だから否定しません。」



『……なに言ってんの。』





「莉央くん困るよー。」

「むしろ交際より良い流れなんじゃない?」



マネージャーたちの 声。





あたしと 指原は


無言。



「じゃ、また明日。お疲れ様です!」



指原と マネージャーが

降りる場所が 近づく。




『指原!』

「え?あ、はい。」


小さな声で、囁いた。




『ケータイ貸してっ。』

「ケータイ?」



差し出されたスマホは


ロックも してないし……。




素早く

自分の番号を押した。



『……電話 かけ直してきて。』

「あの……えっ?えっ?」





『こんな舐めたマネして……許さないからっ。』




……ゴクリ。

目が泳ぐ 指原。





「……お疲れ様でーす……。。」




明日からの事を考えると


……気が重たかった。
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