あつみな3 〜夢の河〜

□嵐の夜に……
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南side…


「……っクシュン。」



『……ん。ココア。』


「……。」


ペコッって、

頭を下げる 敦子。



『寒いやろ。もーすぐ風呂沸くからさ。』


「すみません……。」



『……どしたん?来るなら非通知とかじゃなくて連絡……』



「……メーワク掛けてごめんなさい。」


『いやだから、メーワクとかじゃなくて……危ないやろ?』




下を向いたまんまの敦子。



『……一応、女優さんなんやから。』



目の前にいる敦子は、


捨てられた子猫みたいだった。



それでも やっぱり……




『…………綺麗に なったな。』

「……。」



『……映画 観たよ。』

「……!」



『…………週刊誌 も。』

「……あれはっ!」



やっと 顔を上げた敦子。




『……良いヤツそーやん。指原くん。』


「……。」




『付き合っては……無いんやな。』



……コクリ

頷いた。




『……付き合っちゃえば(笑)?イケメンやん。』




何言ってんだろ 


敦子が 悲しそうにボクを見た。



「南は……?」

『……ん?』




「いるの?…………彼女。」


『……付き合ってみよっかなって……子がいる。』



「……そーなんだ。」




『だから敦子もさ、指原って俳優さんと付き合ってみろって!』



自分でもイラつく


上から目線。




『思われて付き合うのって、幸せやぞ!』




敦子が唇を


噛み締めてる。




『特に女の人は……』

「安心する?」

『え?』



「あたしと……指原が付き合ったら。」



安心?

しねーわ。




『んー、まぁあんだけ人気の俳優さんが、元カノの彼氏なんてさ、ちょっと自慢やなっ。』


敦子が


悲しそうな顔を するたびに



ワザと 傷付けようとしてしまう。




「……そっか。わかった。」


『え……何が?』





〜♪


バスルームから、


お湯が貯まった事を

知らせる音。





冷めてしまった ココアを


クイッって飲み干すと、





「お風呂 借りるね。」






敦子は バスルームに消えた。
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