あつみな3 〜夢の河〜

□ヒミツの同棲生活4
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敦子side…


朝。



南が仕事に行って……。



洗濯を干してから

買い物に 出掛けた。



今日は良いお天気。



ちょっと遠くまで歩いて、



新しいスーパーへ

行ってみよー。



〜♪

歩くのって気持ちいいな。





食材をいっぱい買って……




両手にエコバッグ下げて

帰り道。





異変に気づいたのは……


歩き始めて すぐだった。


気のせいかな。




ワザとケータイ見るフリして、

立ち止まったら……



向こうも立ち止まる。




チラッと振り返って

早足で歩いたら……



向こうも早足になる。




グレーの帽子被った人と

赤いチェックのシャツ着た人、



二人組の オトコの人に


あたし つけられてる……?





どうしよう。

どうしよう……。




目線の先に

点滅してる青信号を見つけて、



赤になる寸前……

あたしは走って渡った。



『……はぁはぁ……っ。』



歩きながら振り向くと

横断する車の向こうに、


こっちをゆび指してる二人組が見えた。



……赤で 渡ろうとしてる。



ダダッ!



あたしは一気に走って、

南のアパートに帰った。



〜〜〜〜〜〜



急いで 鍵を開けようとするのに


手が震えて

鍵穴にうまく鍵が 入んない。



『お願い!入って……!!』





部屋に入って 鍵を閉めた時は……

思わずその場に へたりこんだ。




……あたしってバレたのかな?

そんな知名度無いんだけど……。



それかただの、

アブナイ人たちだったのかな?





あんまり深く考えるのやめよ。



買い物片付けて……

ちょっと落ち着きたい。



荷物をテーブルに乗せようとした瞬間、

あたしは その場にしゃがみこんだ。




………………ベランダに 人がいる。



南の部屋は1階の角部屋。




その ベランダから、

薄いカーテン越しに 

部屋を覗いてる人が はっきり見えた。




グレーの帽子…

さっきの二人組のうちの一人だ。




ガクガクする足で、

ゆっくり ソファの裏に隠れた。




どうしよう……

ケーサツに電話?


…………ダメだ。


そんな事したら、


あたしってバレた時……

南に迷惑かけちゃう。



ここにもいられなくなっちゃう。




ガタッ!

『ひゃっ……!』



思わず声が出ちゃって

口を押さえた。


……何の音?



怖い……

怖いよ、南……。



「見てきた?」

「おう。」


オトコの人の 会話が聴こえた。


「表札なんだった?」

「タカハシ だって。本当にここ入ったんかよ?」



……調べてる。



「女物の服とか置いてあるし……」

「マジ?」



「郵便物は?」

「見れねぇ。」



「本人いねーな。」

「隠れてんじゃね?」



バンッ!

バンバンバンバンッ!


窓を叩いてる音。




ケータイをそっと取り出して、

震える指で 近くの交番を検索した。



電話番号を

ダイヤル……




『あ、すみません。近所のアパートに、不審な人がいて……場所は……』




上ずった声で説明したら、

お巡りさんは

すぐに見回りに行くと約束してくれた。



「あなたは、住人の方?」

『いえ……近所の者です。』





電話を切って数分後……



「おいっ!何してるッ?!」


「やべっ!」

「逃げろっ!!」



お巡りさんが見回りに

来てくれたみたいで、




二人組は いなくなった。




更に5分待って……


念のため フライパンを片手に

窓に近づいた。




誰もいない……。



外をカーテン越しに確認してから


シャッ!って、分厚いカーテンを引いた。



昼間なのに、夜みたい……。



物音を立てるのも怖くて、



あたしはしばらく

ベッドで毛布にくるまった。




南の 匂いがする毛布は、

あたしを優しく 包んでくれる。




少しずつ……胸の動悸は 治まってった。
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