あつみな〜小さな恋のものがたり〜
□敦子と南。
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敦子side……
あー眠いよー。
あたし朝はニガテなんだよ。
そんなの昔っから知ってるクセに、
毎朝毎朝家まで迎えに来て
玄関からあたしを呼ぶ声……
うるさいなー。
「あつこぉー!遅刻しちゃいまス!早くしてくださいよ!」
『うっさいな〜。1人で先に行ってればいいじゃん。』
「ダメでス。敦子は一緒に行かないと休んじゃいまス。」
まぁ……たしかに。。
自宅から学校まで
自転車で20分くらいの距離。
鼻歌歌いながら前を南が走ってる。
「南先輩!」
モノカゲから急に女の子が出てきて、
南の自転車が「キキッ」って音を立てて止まった。
……ナニ?
「あぁ、おはようございまス!」
「おはようございます。あの…これ受け取って下さい!////」
「え…ってボボボボクにですか??」
ウチの学校の制服だから……1年生?
真っ赤な顔で何かプレゼント渡してる。
あたしは少し先に行ったとこで離れて見てた。
「ずっと前から好きでした…じゃまた。」
……何コレ。
南が告白されたってコト?
真っ赤な顔でボーっとなってる南。
何か無性にイラついて叫んだ。
『……みなみ!!もう先に行っちゃうからね!!!』
「…はーい。」
ボーっとしたまま、
上の空の返事。
何なのー!?
あたしはイライラしながら、
南を置いて
自転車を漕いだ。
学校……
教室に入ると、
優人が声をかけてきた。
優人はチビだけど、
カッコよくてモテモテなんだよね。
……どっかのチビとは 大違いっ!
「おはよー。あれ?あっちゃん1人ー?南はー?」
『知らないっ!!』
「きっ機嫌わるいぜー。。」
ムカムカしながらトイレに向かうと、
陽菜に会った。
「あっちゃんおはよ♪」
『あっにゃんにゃん。おはよー。』
陽菜は優人のカノジョで、
ふんわり系の美人。
……南も陽菜にはいっつもデレデレしてる。
「あれ?南は?」
『聞いてよ陽菜!南さー、今朝後輩の女の子から告られて!』
「ふんふん。」
『顔真っ赤にしてボーーーっとしちゃってさ!』
「なるほど。」
『ばっかみたい!!』
イライラしてるあたしに、
陽菜が不思議そうに聞いてくる。
「んー。でもあっちゃんは何で怒ってるの?」
『えっ?』
「南が後輩の子に好かれてるだけなのに、何で怒ってんのかなーって。陽菜よくわかんないんだ。」
『え…だってボーっとして真っ赤になっちゃって、私が先に行っちゃうからって言っても気づきもしないでさ。』
「ふんふん。」
えっと…それでっ……
『とっ…とにかくデレデレしてるの見てると、ムカついてムカついてじっとしてられないの!!わかる?』
「うん。わかった〜♪」
『ね!ムカつくでしょ!』
「ううん。そうじゃなくて〜。」
『へ?』
「あっちゃんって南の事好きなんだね!」
陽菜はそう言ってニコッて笑った。
『え…って…はぁぁ??』
「んーだって話聞いてるとそうとしか思えないんだもん。」
『そんなわけ無いじゃんっ!だ…だって幼なじみだし…今さら何であんなヤツにあたしが…』
「じゃあさ。今教室戻ろ?で、南の顔見て。」
『南の……顔?』
「うん。もしあっちゃんが南を好きじゃないなら、またムカムカするだけだけだと思うー。」
『…』
「でももし好きなんだったら…」
『…たら?』
「んー。…ドキッてなると思うー。」
……あたしが?
ドキッって……?
まさかー(笑)。
「ねっ♪だから戻ろ!」
『……うん。わかった。』
陽菜に連れられて教室に戻る。
「えっと南は…いたっ。あっちゃん南を良く見てみて。」
あたしは南を視線で探した。
……!!
えっ……
ナニ?この気持ち……
心臓が 跳ねたみたいに
ドキッって なった。
「どう?見た?…ってあっちゃん顔が…」
『/////うそだぁぁぁぁあ/////』
「ビックリしたぜー!!なーんだよあっちゃん〜(笑)」
優人の茶化す声で
我に返る。
「??」
不思議そうな南と目が合って、
あたしは慌てて反らした。