秋葉原高校〜学パロ短編集〜

□恋と気づかずに…
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敦子side…



日曜日の午後、

久しぶりに 開いた


高校時代の日記帳。



挟まれてた 映画の半券には


遠い日の日付。




あれは まだ

南への気持ちに 気づく前の




小さな思い出。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「おめでとうございまーす!!」


商店街のおじさんが

ベルを鳴らしながら、おっきな声で


南に言った。



学校帰りに寄った 商店街。


新しい上履きとかノートとか買ったら、

レシートと一緒に付いてきた くじ引きのチケット。



たった1回で…



「3等大当たり〜!」

「やった!マジか。すげぇ!!」


喜んでる南に、

渡されたモノは…



「景品は何と…」

「何と…?!」



「映画のペアチケットだよー!!」

「ぅえぇっ!?やった!」



今流行ってる映画

「GANTZ」のペアチケットだった。



帰り道…


「いや〜今日はツイてるわ〜♪」



ホクホク顔で歩く南。



『いーなーっ。ねぇっ、チケット2枚あるんでしょ?』

「そーやっ!ペアチケットだって♪」



チケットの入った封筒を

ヒラヒラしてる。



『2枚も、どーすんの?』

「…へ?」


『誰と観に行くの?』

「あー…」



何か…ニヤニヤしてる南。





『どーせ彼女もいないんだし、あたし一緒に行ってあげても…』


「そーだっ!!」


…え?

聴いてる??


ぽかーん としたあたしに、

南が キラキラした目で言った。


「敦子!協力してや!!」

『き…協力…?』



「今、優人と小嶋さんケンカ中でさ。」

『……だから?』



あれ、何だろ。

胸の辺りが 重たくなった。



「ボク小嶋さん 誘っていーよな?」

『…陽菜を?』


うん って頷く 南。



『いっ…いーんじゃない?ケンカしてんならっ…チャンスかもね。』

「だよな!じゃあさ…」


あたしの前に立って

頭をペコッて 下げる。



「小嶋さん、こーいう映画好きかリサーチしてや!頼むっ!!」


…。

何か 息が苦しい。


あたし…今日ちょっと体がおかしいのかな?



早く帰りたい。



『いーよ、わかった。』


「やった!ありがとう敦子っ!」



肩を軽く叩かれたら、

息苦しさが もっと強くなった。




変な あたし。

何かの ビョーキかな?
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