あつみな3 〜夢の河〜
□ヒミツの同棲生活2
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南side…
通勤電車に
渡辺さんと 並んで揺られる。
「夕べはすみませんでした…あんな電話を……//」
『あぁ、全然全然っ!嬉しかったでスよ。』
「ほんまに?」
キラッキラの笑顔で
ボクを見る目。
俗に言うアレやな。
“君の瞳の中にボクが見える”的なやつでス!
「……早く二人っきりで会いたいわぁ。」
渡辺さんと二人で会える頃、
敦子は 海外にいるんかな。
「また料理教えて下さいねっ♪」
『もっもちろんでス!』
ふと、
「昨日ここで…… したね。」
敦子の声を 思い出す。
えぇぃっ!ジャマするなっ!!
敦子の、
「あたしとヘンな事したシンクで、料理教える気?」
って声が 聞こえてきそーで、
ボクは頭を ブンブン振った。
……平常心平常心平常心平常心平常心。
「高橋先生?」
『えっ?』
渡辺さんが、
ボクの袖を引っ張る。
「またボーっとしてますねっ。降りますよ♪」
ヤバっ……。
いかんいかんっ。
教師モードに切り替えて……。
「高みなーおはよー!」
「まーたみるきーと一緒かよっ。」
『うっうるさいっ!!』
「うぇーいっ!チャラみなぁー♪」
バタバタ走ってく 生徒たち。
「皆元気やなぁ♪」
『ったく!クソガキッ。』
後ろから走ってきた自転車が、
キキッ!って 止まった。
「高橋先生おはようございます!」
「…おはよう ございます。」
『あ、おはよ!!』
自転車で、
いつも二人で通学してて、
二人とも ボクのクラスの生徒。
走り去る 二台の自転車を見送りながら
渡辺さんが、
コソッと……
「あの二人、付き合ってるんやって!」
って、笑った。
……へぇ そっかぁ。
学級委員やってる真面目な彼氏に
引っ込み思案な彼女。
若いカップルの
何気ない日常に、
ボクはいつの間にか
過去の自分たちを 重ねてた……。