あつみな〜小さな恋のものがたり〜

□ゆく年くる年
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南side…

『さむっ…』

今年もあと30分でス。

年末の忙しさに追われて、
年賀状を後回しにしてたもんで……。

やっと今、ポストに投函できました。

その帰り道。
前田家の2階を見上げる。

あ、電気点いてる。
カーテンの向こうに、敦子の影が揺れた。

携帯も持たずに出てきた事を後悔してまス。

ダメ元で。

枯れ枝を窓へ目がけて投げてみる。

だははっ(笑)
コントロール悪いな自分。

もう1回っ!

カツンッ……

おっ、当たったっ!
でも、気づかないよなぁー。

あと1回だけ……

適当な枯れ枝を探してたら、
「何してるっ?!」

ヤバッ!お巡りさんでスっ!

『いや、アヤシイ者ではっ……!』
「こんなとこで、一人でウロウロしてっ。何してたかって聞いてるんだっ。」
『あのでスね。この家の子とボクは同級生でっ。』
「……ストーカーか?」
『ストーカーッッ!?ちがっ違いまスっ!』

「南……?」

えっ……?

敦子がベランダから見下ろしてる。

「何してんの?」
『あ、いや。』

「この人友達?」
お巡りさんが、敦子に聞く。

「あ……コイビトです。」

恋人……
あ…敦子ぉぉぉぉ……。

「……あんまり疑わしい行動は控えなさいよ……。」

お巡りさんは、ドヤ顔のボクの肩をポンッと叩いて、
自転車で走り去った。

「南。」

敦子が呼ぶ。

『ん?』
「登って来て!」
『うぇぇっ?!』

「あたしやった事あるからヘーキ。」

って、敦子は小さな声で説明する。

無茶や〜。

落ちても命に別状は無いだろうけどさ……。

ヘトヘトになりながら、
何とかベランダまで登りきった。

「わぁー本当に登った(笑)」
『ちょい敦子!敦子が登れって…』
「シーッ!……部屋入って!」

ベランダから敦子の部屋に浸入する。

お父様お母様すみません。。

「寒かった?」
『お巡りさんにビックリして、寒さも忘れてました。』

職務質問ってヤツ?
って、敦子がボクを冷やかす。

「何してたの?下で。」
『や、その……敦子起きてるかなー……なんて。』
「で?」
『そしたらお巡りさんが来て、ストーカーと間違われちゃってさ……』
「あはははっ(笑)」

『ちょい笑いすぎや。』

「……会いに来てくれたの?」
『とっ…通りかかったのっ。』
「ふ〜〜ん(笑)」

敦子が笑って、
「嬉しい」ってくっついてきた。

「南、座って?」
敦子に言われて、
勉強机の椅子に座る。

『どしたぁ?』

「じっとしててね。」

敦子は両手でボクの頬を包むと、
初めて 敦子から
ボクにキスしてくれた。

ぎこちなく重なる唇。
頬に当たる手が ちょっと震えてる。

唇が離れたら、
赤い顔した敦子が俯いた。

「ご褒美っ//」

って、
堪らんやろぉ〜////
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