Long story
□真実。
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俺の前にヒーローが現れた日から一週間。
間違いなく俺の生活は変化していた。
いじめはいつの間にかなくなり、
櫻井くんと過ごす時間が増え、
気がつくと俺は彼を“翔”と呼び、
また彼も俺を“かず”と呼ぶことが普通になっていた。
俺たちが仲良くなるのに時間なんていらなかった。
今は休み時間で翔さんはクラスメートたちとバスケをしている。
俺はそんな彼をゲーム機の画面越しに見つめていた。
あの日から平穏な日々が続くけど、正直、心臓が保たない。
どうしても目が翔さんを追ってしまう
俺、翔さんが好きなんだ。
俺の視線に翔さんが気付く。
「かず?何、どしたの?かずもバスケする?」
「いっいいですっ!ここで見てます!」
あ、あせったぁ_____……
見過ぎだな‥…‥俺。
「だぁ〜〜〜!!ギブギブ!!きゅーけー!」
ドサッ!!
突然、膝にかかる衝撃と重み。
「ぜぇーー・・はぁーーー・・・」
あぁああぁあ?!
「ぜぇーはぁ、膝貸してくんない?」
それは疲れた翔さんの頭で、膝枕ってヤツでなにこれ、ボーナスステージ?!とか思ってみたれり。
それにしても綺麗な顔。
こんなに近くで見るの初めて。
「あ、」
ん?
「桜____……ここまで入って来てたんだ。」
翔さんの手のひらには小さなピンク色の破片。
「ほんと、綺麗です………」
「かずは桜好き?」
「まぁ、割と好きかな‥」
「___俺はあんまり、好きじゃない。
一瞬で散って、花が散ったら………
誰も見向きもしないでしょ…………__?」
そう言って笑う翔さんは
側にいるのに何故か遠くにいるようで
どう声をかければいいのか……わからなかった__