短編(JOJO)

□交わり
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※暴力・性的表現有り




俺がアイツと肉体関係を持つようになったのは、別に好き会ったからなんてまともな理由からではなかった。
たまたま通っていた女がその日留守だったからと、見目がいいという理由で俺に目を付けたんだとか。

別の女でも漁ってきたらどうなんだと言っても、面倒だしすぐ近くにいる俺でいいと全く取り合わなかった。

もはや守る物も何もなくなりあの日以来ズルズルと生きてきた俺には、別に拒む理由もなかった。
野郎に穴掘られようとも構わなかった。まあ相手は顔がいいからラッキーな方だなという感覚で、行為の間も思う事はそれだけだった。
まあ未開の穴に突っ込まれる激痛には応えたが、ブチャラティは生娘にするように丁寧に扱ったからか、別にもう二度としたくないと思う事もなかった。
俺が掘られるのはブチャラティだけだったし、俺の方は女の相手しかしなかった。

何度かやり合ってるうちに、アイツは俺を綺麗な髪だとか、言って触れてくる。そう言ってくる時のアイツはどこか威圧感が抜けていて、少し安らいでみえる。
俺なんかに賛辞などもったいないものだから、あんたの方がキレイだよと返した。
「口説いてるのか?」
「別に、思った事言っただけだ」

俺なんかに言うもんじゃねえよと言えば、アイツはそれきり何も言わずさっさと終わらせようとするかの如く腰を動かす。
ヤツの不意打ちともいえるそれに、俺はただされるがままに喘いでいるだけだった。


ブチャラティは行為が終わってしまえば何もなかったかのように出て行く。
俺もそれで構わなかった。
この関係はただ互いの行き場のない性欲を満たすためだけの物だ。
ヤりたくなったらヤる。それが終われば後は用なしだ。それ以上を望む事もなかった。



裏路地を歩いていたら前にケンカふっかけてきたやつらに遭遇した。
関わり合いになるのも面倒なのでシカトしてとっとと立ち去ろうとするが、向こうが待てよと腕を掴んでくる。

「アバッキオよぉー、おめーなんかしばらくみない内にエロくなってきたんじゃねえか?」
「前からいい顔してたしよぉー、なんだ売春でもやりだしたか、ん?」


「顔だけは綺麗な也しといて調子づいてたみたいだがよぉー、今回はそうはいかせねーぜぇ」

そいつらは以前会った時よりおかしかった。
明らかに麻薬をやっている者の目だった。

こいつは関わるとマズい事になる。
逝っちまった目でヤラセろと迫られ、俺は嫌悪する。その事に驚いたのは俺自身で、なぜ今更他人に暴かれるのが嫌なのかがわからなかった。

この場を離れようと俺はやつらに以前のように蹴りをお見舞いする。
だが周りへ注意を向けなかったのが災いし、どこかに潜んでいた奴等の仲間だろう者達に動きを封じる。
振り解こうともがけば殴られ、怯んだ隙に腕に針で刺された痛みが走った。見れば注射器で何か薬を打たれていた。
そこからは記憶が曖昧で、気付けば日が沈んでいた。
場所は先程と同じ路地裏で、俺は裸のまま横たわっていた。
起き上がろうとすると手酷くされたのであろう節々の痛み、そして決定打となるドロリと中から溢れ出る感覚で犯されたのだと思い知らされた。
次第に意識がハッキリし出すと痛覚が戻り、無理にねじ込まれた穴の痛みに記憶が蘇る。

力が抜け、ろくに抵抗できない身を無理矢理組み敷かれ、馴らされもしない穴に突っ込まれ、何人かに廻され散々殴られた。
体中にぶっかけられた後の青臭さがこびりついていた。
それらが現実だという事を思い知らす。


服を申し訳程度に身につけ、アジトに戻る途中でブチャラティを見かけた。
こんな状態ではとてもまともに顔を合わす事などできず、俺はブチャラティに見つからないように隠れながら戻った。

アジトまで戻りバタンとドアを閉めると、ズルリとしゃがみ込む。シャワーして早く精液を掻き出さなければ腹を下すというのに、もう動く気力もなかった。
気付けば目からは滴が流れていた。
同僚を亡くしたあの日でさえ流す事のなかった涙だった。

俺にそんな資格がないのに意志とは裏腹に次々溢れ出る。
もうどうしたらいいのかわからず、頭に爪を立てながら惨めったらしい己にただ涙した。

同僚を死なせ、汚職に手を染めて堕ちに堕ちた己を当然の報いだと思う反面、何をしているんだろうと虚しくも感じていた。
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