短編(その他)

□黒執事SS3
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葬儀屋→ヴィンセントかクローディア、シエル→坊ちゃん

まだ不安定な僕を甲斐甲斐しく世話をするこの男は、父の代からファントムハイヴ伯爵家に協力してきた者だ。
どういう経緯で知り合い、付き合いを始めたのかは知らないが、現在当主であるこの僕にタナカと共に付いている。
僕が正当なファントムハイヴ伯爵として帰ってきた時、なんと片割れの僕の弟が当主として屋敷に存在していた。
もっとも今となってはミッドフォード侯爵らの協力により、僕が正当な当主となった折りに弟は出て行ってしまったが。

この日も身体の調子が悪く、葬儀屋にみてもらっていた最中のことだ。
今後の事を色々考えねばならないのに、身体が思うように動かない事に苛立ちを隠せない僕に、ソイツは焦るんじゃないよと釘をさした。
「まだ充分に動ける状態じゃないからねぇ、もう少ししたら本来のように調子を取り戻すさぁ」
「ふん、それもいつになる事だろうな」
「もうすぐさぁ、もうすぐ、伯爵は自由になれる。そうさ......」
こういうときに、決まって葬儀屋は何か別のものをみているような目をするのだ。

コイツは僕を通して誰をみているんだろうな?
本当は僕ではない誰かを、待っているのだろうか。
まあそれでも構わない、それならそれで、僕もコイツを利用させてもらうだけだから。

待っていて、必ず僕が、君を幸せにしてあげるから。もう離れないよ......

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