恋に落ちるとき

□オッパって呼びたい DW
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『 オッパ 』



何度そう呼びたいって心の底から思ったろう。年下の女の子からこう呼ばれて甘えられるのが嫌いな韓国人男性はいないはず。


新曲のPVで年上の女性に思いを寄せる設定だったドンウ。“年下の女性は好きじゃないの?”とファンから質問を投げかけられた彼。



『年下の女性も好きです。自分が年をとればとる程年下の女性が魅力的に写ります。』



そうインタビューに笑顔で答えている彼を見た瞬間、頭をガツンと殴られた衝撃を受けた。



昔の恋愛話を聞くたびに年上の女性との話ばかり聞いていた私はすっかり彼が年上好きだと思い込んでいたらしい。


以前はただ可愛かった彼も最近は精悍な顔つきになり大人の色気を身に付けた男性に変化してきている。



-----もう、この思いは胸に閉じ込めて封印してしまおう。告白してフラれて気まずい思いをしたまま働くのはこっちも辛い。



そんな私の思いとは裏腹にドンウは今日も私に無邪気な笑顔を向ける。いつもは癒されるその笑顔も今日は残酷としか感じられない。



「ヌナ〜!おはよう!なんか今日元気なくない??」



私の顔を覗き込むドンウ。彼は人との距離感覚がおかしい。至近距離で彼の真っ直ぐな目に見つめられ息が出来なくなる。



「……っそ、そんなことない!!」



私の肩をがっちりと掴むドンウを振り払おうとした瞬間、黄色い声が私たちの間を遮った。



「ドンウオッパ〜〜!!」



最近デビューしたガールズグループのメンバーがドンウに手を振り駆け寄ってくる。同じ事務所でドンウと練習生期間を共にしていることもありその子とは特別仲が良い様子だった。



ドンウの視線が彼女に移った隙に私は控え室に駆け込んだ。


涙が込み上げてくる。さっきの二人の仲睦まじい姿が脳裏から離れない。いい歳をした大人が情けない…仕事中なのにたかが恋愛ごときで泣くなんて。



「……どうしたの??」



思わず仰け反ってしまう。誰もいないと思った控え室の隅からスタイリストのオンニが姿を現した。



オンニでよかった。ドンウへの思いを唯一打ち明けていた信頼出来るオンニだったから。
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