★小説★
□風と共にヤリぬ
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私を許さないで
憎んでも覚えてて
──松任谷由実『青春のリグレット』より
【風と共にヤリぬ】
『暑ぃ〜…やっと着いた。』
あ、こんにちは。
オレ、烏野高校の最強セッター・影山飛雄っス。
…あ!菅さんのこと差し置いて最強はないな、サーセン。
それよりオレは今、青葉城西高校に来ている。
どうしてこの高校に来ているか…それは、及川さんを偵察…いや、観察する為だ。
どうして観察するのか。
それは言うまでもない。
インハイ予選の為の対策だ。
青葉城西はオレの出身中学の生徒が結構来ている。
だからオレは目立たないように少しばかり変装してきていた。
これで誰が見ても怪しまれないだろう。
夏の暑い日差しの下、オレはサングラスの位置を少し直してこの高校に足を踏み入れた。
他校に入るとちょっとドキドキするのはどうしてですかね?
別に悪いことしてるワケじゃないのにさ。
あ、でも勝手に偵察するのはホントはルール違反かもな。
いやいやこれは『観察』!決して『偵察』ではない。
それに別にビデオに撮ろうなんて思ってない。
ただ単にこの目で見ておきたいだけなんだ。だから大丈夫。
そんな風にオレは自分に言い聞かせながら体育館に向かった。
『お前…何しに来たんだよ。』
そんな時、オレは突然後ろから声をかけられた。
バっっっ
オレは慌てて後ろに振り返った。
振り返ればヤツがいる。
そう、オレはこいつのことをよく知っている。
オレが中学の時に同じチームで…
決して『仲間』にはなれなかったやつ。
そいつの名前は
らっきょヘッド!!
…もとい、それは日向が勝手に言ってるんだった。
こいつの名前は
金田一勇太郎。