★小説★

□変人は静かに喘ぐ
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早熟なのは仕方ないけど
似たようなこと誰でもしているのよ

──中森明菜『少女A』より




【変人は静かに喘ぐ】




『あれ?菅さんまだ来てねぇのか?』


ちはっス!
オレ、影山飛雄、高校一年生。
粋でイナセなハイスクールボーイ。

人はみんなオレのことを怖いとか目つきが悪いとか言うけれど、
本当のオレはシャイボーイ。


…いやいや、自己紹介は置いといて。

オレは今、バレーボール部の使っている第二体育館に来ている。
授業が終わってササっと来たんだけど…
肝心の菅原さんがまだ来てないみたいだ。


『おっかし〜な〜…いつも菅さん早いのに。。。』


折角早く来て菅さんにトスについて質問しようと思ったのにさ。
来てないんだったらクラスの女子の言うとおりに掃除しとけばよかったぜ。
オレの印象がまた悪くなっちゃったし。


ま〜仕方ない。
倉庫からボールとか出して用意しておこう。

キャプテンも褒めてくれるだろうよ。
うんうん。


オレは体育館前方の舞台の横にある倉庫に向かった。
思い鉄籠に入ったボールを出そうと思ったその時。



ガタタン



『!!!…っっっくりした〜。。。』
突然逆側の倉庫から音が聞こえてビックリした。

あっち側は体育教官室になっている。
でもこっちは第二体育館だからもうそこは使ってないただの部屋のはずだ。

ままままま

まさか幽霊?


…んなワケあるか。


オレはちょっとした勇気をふりしぼって倉庫から舞台を挟んだ逆の部屋の様子を窺うことにした。
泥棒とかだったらまずいしな。



オレは足音を立てずに一旦倉庫から体育館に出て、舞台の前を通って逆側のドアに向かった。
しかしその扉はきっちり閉まってて…もし中に誰かいるなら安易に開けるのは危険だ。


その時思いつく。


舞台の上からならならその部屋への通路に扉はない。
そちらから中の様子を見ることにしよう。


オレは静かに物音を立てないように舞台に上がる。
体勢を低くして舞台横の部屋の中を覗いてみた。




『キャーン♪クスクス♪』

中からちょっと高めの声が聞こえてきた。
男の声だが、声質的にガタイのイイ奴ではなさそうだ。

『ククク♪ダメだろー♪』
…声の主は二人のようだ。
だがどうやら仲よさそうに喋っているようだ。

少しばかり安心したオレは中を見るために体勢を低くしたままそーっと部屋の入口にまで進んでいった。



『!!!!!!!』



そこでオレは見てはイケナイものを見てしまったのだ。
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