★小説★
□パイオーツ オブ カリビアンコム
1ページ/8ページ
言い訳繕うその前に
やさしさ装うその前に
聞いておきたい事がある
──内藤やす子『想い出ぼろぼろ』より
【パイオーツ オブ カリビアンコム】
『あの…田中センパイ…トスを。。。』
『ひっっ…ひぃぃいいい!!晒さないでぇぇぇぇえ!!』
…
…
…
田中先輩には誤解されっぱなしだ。
いや、正確には誤解ではないのかもしれないが…
それもこれも日向の策略と言っても間違いではない。
オレ、影山飛雄。
イキでイナセな高校一年生。
今、練習の為に田中先輩にトスを打ってもらおうと思ったのだけど…
オレのことを淫乱ドスケベ小僧と勘違いしている田中先輩には避けられっぱなしだ。
田中先輩はオレを避けるように逃げると、さっさと縁下先輩の所に行ってしまった。
全ては日向のせい。
あいつのせいでオレはチームの男たちにいいようにカラダを弄ばれている。
オレはもともとホモなんかじゃね〜!
ど〜考えたって女子が好きだし、
女子とあぁ〜んなコトやこぉ〜んなコトをばんばんヤリてぇと思ってんだ。
だけど蓋を開けてみればオレの高校ライフはチームメイトに犯されてばかり。
チームメイトばかりじゃなく、他校の生徒ともカラダの関係を持っていたりする。
それはオレの意思じゃなく
たいてい日向の策略なワケで…
『はぁ…』
当の日向はスガ先輩といちゃいちゃ…もとい、きゃぴきゃぴ練習しているようだ。
エースの東峰先輩はリベロの西谷先輩とブロックとそのこぼれ球拾いの練習入っている。
月島と山口は勘弁だし…
オレは一人ため息をついて辺りを見回した。
『…あの。トス、打ちましょうか?』
『??…あ、木下先輩。』
ふと声をかけてきたのは木下先輩だった。
この先輩はいわゆる逃亡組の2年生だ。
練習が厳しいと逃げたのに
監督がいなくなった途端、キャプテンの優しさにかまけて戻って来た人。
例えて言うならランキング晒されて登録解除したけど、
ほとぼりが冷めて再び登録しました〜…みたいなノリ?
…何言ってんだオレ。
『トスアップの練習したいなら俺でよければ練習付き合うよ?』
木下先輩はもう一度そう囁いた。
『あ、アザース!』
オレは心中ひっかかる部分があったけど、練習してもらえるなら利用しない手はない。
↑この言い方が王様だとよく言われます。
そんなワケでオレは木下先輩に練習をつきあってもらうことにしたのでした。