NOVEL
□Cendrillon〜硝子の暗殺者〜
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一晩だけの恋―――それは情熱的で激しく燃え上がる愛の炎。
たとえ許されないものだとしても、自分の想いに逆らうことなどできないものです。
それが――――狩る者と狩られる者だったとしても。
とある王国の小さな村に住む16歳のサンドリヨン。彼女の持つ名前は、父の再婚者とその連れ子の義姉によってつけられた「灰かぶり」を意味するあだ名。とうの昔に死んでしまった母親――顔も殆ど覚えてなどいないけれど――につけられた“本当の名”なんて忘れてしまった。
義母と義姉にこき使われる毎日。その日々はまるで召使いや奴隷の様。食事の用意や洗濯物に始まり、義母や義姉にマッサージをしたり、少しでも気に入らなければ食事も与えられず寒空の下に裸足のまま出される。そんな生きていることさえままならず、死にたくなる日々が始まったのはサンドリヨンがわずか4歳のことだ。
しかし、そんな日々にも慣れてしまった。最初のころは早くこんな生活から抜け出し、綺麗なドレスを身にまとい、素敵な恋をする――お姫様のような生活を夢見ていた。けれど実際には義母に逆らう勇気などでずに、ずるずると毎日過ごしている。