NOVEL

□Cendrillon〜硝子の暗殺者〜
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ある日、サンドリヨンが買い物をしている時のことだった。
 買い物もサンドリヨンにとっては辛いものだ。両手に沢山の荷物を持ち、更には背にも荷物を背負う。
「……重い。」
 いかん、弱音を吐いては義母たちの思うツボだ。自分を叱咤し2km離れた家を目指す。
 義母たちは私の苦しむ姿が見たいのだ。ならばどこまでも笑っていよう。思い通りになんかならない。それが今のサンドリヨンのささやかな抵抗だった。
「…それでも、早くこんな生活から抜け出したい。」
 自分にしか聞こえないほど小さな声で呟いたはずだった。それなのに
「私がお手伝いしましょうか?」
 いつのまに居たのだろうか。後ろの、漆黒のマントを身にまとった女性が声を掛けてきた。
「え……荷物なら持てますので…大丈夫です。」
「ノン!そっちじゃなくて“今の生活から抜け出す”お手伝いよ。」
 今の生活から抜け出せる――その言葉はサンドリヨンが幼いころより望んでいた、まさに天からの光だった。
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